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第21話

受賞記念おまけ 最終回の裏側
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2018/06/28 06:35
「ほーん。よかったねぇ」

私の話を終始にやにやしながら聞き終えたるーちゃんがそう言って笑った。

私の話というのは、まぁ、昼休みのことだ。教室だと人目があるので、部活が終わってから話そうと決めていた。

――包み隠さず話すの恥ずかしかったけど、やっぱり言ってよかった。

そして、話したことでいろいろ思い出した私は、両手で顔を覆って、はぁー……と息を吐いた。

「先輩さ、本当Sなのよ……ファーストキスを意識する間もなかったわ」

「おー……それさ、あたし聞いてて思ったんだけど」

「ん?」

顔から手を外してるーちゃんを見る。るーちゃんはにやりとして言った。

「先輩、単にあんたとキスしたかっただけじゃない?」

「……えっ!?」

ボンッと顔が沸騰する。

た、単に私とキスしたかっただけって……!

「そっ、そんなわけないよ!!私がすぐ名前呼びできなかったから罰みたいな感じで……」

「うん。そうやって罰に見せかけといて、実はその罰が本命だったのよ。あんたが名前呼びをすぐにできないことを分かってたから」

……な、なるほど。そういう考えもあるのか……。

理屈は分かったが、やはり違う気がした。先輩ならストレートに言ってきそうだから。

「甘いなひかりん。意外と本命には弱いタイプだよあれは。ま、あたしの勘だけどね」

「言い切った後に保険かけないでよ……ますますわかんなくなるよ」

「あはは。あんたはわかんないままがいいよ」

「どういうこと……」

からからと笑うるーちゃんを前に、私はうなだれるしかなかった。





体育倉庫の扉のそばで、中から漏れてくる“るーちゃん”の笑い声を聞きながら呟く。

「あいつ怖ぇ……」

「どうした二宮」

「何でもねぇ」

原田に平然を装って答え、俺はため息をついた。

キスの口実、次は何にするかな……。

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