第3話

tanpopo .
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2018/11/06 08:18


天界。



天使が生まれ、世に降りてゆく世界。




そこに、 ライディ という1人の天使がいました。


ライディは優しく女神に信頼され、愛されています。

ライディの名前の由来はダンディライオン、

たんぽぽです。



でもたんぽぽには、こんな物語があります。

ある春の日、なまけ者の南風は、野原にたたずむ黄色い髪の美しい少女を見つけ、恋に落ちてしまいます。

実は、その少女はタンポポ。

それに気づかない南風は、毎日夢中になって、少女を見つめ続けました。

しかし、いつのまにか少女は白髪の老婆になってしまいます。

南風は、悲しみのあまり大きなため息をつきました。

すると、ため息に飛ばされて、白髪の老婆もいなくなってしまった。


悲しい、別離のお話です。





ある日、女神はライディにこう言いました。



『あなたはやさしい。愛される。

けれど、別れ、離れることをもいとわない。

それはとても美しく、残酷です。


世に降りたとき

周りの人々との関わりの奇跡を

優しさの大切さを

愛を伝えられる人になりなさい。』


ライディは頷き、降りていきました。











ある日小さな村で、みんなに愛されたおばあさんが亡くなりました。

その後すぐ、みんなに望まれた小さな命が生まれました。


太陽が優しく照らす春の日。


悲しい別れと

大きな愛が

小さな町でいっぱいにあふれました。







生まれた子の名前は、ライディ。

元気な、笑顔の絶えない男の子です。




『おかあさん、ぼく、やさしいひとになるね。』

5歳の誕生日、お母さんに言いました。



『お前に会えてよかった。ありがとう。』

15歳の誕生日、親友に言いました。






『きみと会って、愛せてよかった。結婚してくれますか。』

23歳の誕生日、彼女に言いました。



『出会いも別れも大切にできる人になってほしい。』


25歳の誕生日、同じ日に生まれた娘に言いました。








『僕は生まれてから死ぬまで、愛をもらった。

僕は誰かに、愛をあげられましたか?



出会いも別れも奇跡だってこと。

愛することがどれだけ幸せか。

優しさは人に幸せをもたらすこと。



覚えていて。





幸せだった。ありがとう。』


92歳の誕生日、手紙を書きました。



そして1週間後、天に帰りました。




















たんぽぽの花言葉

愛の神託、神託、真心の愛、別離

 

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