〜崇裕side〜
照史が来ない。
あいつは大雑把な性格に見えるが、実際は人の細かいところに気づいてフォローに回ったりできる奴や。待ち合わせの時間の大体15分前には着いとる。それが遅刻や。電話にも出ない、待ち合わせ場所から照史ん家はそう遠くない。
俺は、照史ん家へ駆け出す。
本当は、気づいとったんや……照史が悩んでいること。
きっと…今度の休み、照史が俺の事をカラオケに誘った時にでも言うつもりやったんやろ。
なんで……なんで!!次の休みまで言おうとせんかったんや!!
いや……お前が辛い思い抱えとるの知っとったのに無理にでも聞き出さんかった俺が悪いんやな…あいつは…照史は溜め込むくせがあるの知っとったんに………。
そうこうするうちに照史ん家に着いた。
ピーンポーンピーンポーン
崇裕「照史!!大丈夫か?」
反応がない。
崇裕「照史!!照史!!勝手に入るで!!!」
ガチャ!!
俺達の家は皆がみんな行き来できるよう、合鍵を渡されている。いつまでたっても反応がない照史に痺れを切らした俺は勝手に鍵を開け、部屋に入った。
照史が倒れている部屋に………。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!