つけているマスクの紐に、天童さんの指が触れた
思わずマスクを押さえて後ずさりする
髪触らせたお礼に、マスクを外せと。
代償が大きすぎじゃないか???
そう思いながら、天童さんを見つめる。
拗ねたように口を尖らせて、そう呟いたあと、
天童さんは、目を細めて笑いながら、私の方に詰め寄ってきた。
断ったらマズイやつかな。そう思い、私が言うと、天童さんは少し考えるように黙った。
そしてすぐに、意地悪く目を細めながら、口を開く。
私は、諦め半分にそう忠告しながら、初めて自分から、マスクを外した
私の顔を見た瞬間、天童さんの表情がピタリと止まり、
真顔のまま、自分の顔を凝視される。
なんか、こう、改めて自分の顔見られるのは……嫌だ。
普通に、無理。早く顔を隠したい。
そう思って、急いでマスクをつけようとすると、
突然、腕を掴まれた
そのまま、無言でマスクを奪い取られる。
一瞬状況が理解できなくて、ポカンと天童さんを見上げ、声をもらす
そう言って、天童さんは、私のマスクを丸め、
近くにあったゴミ箱に、ポイと投げ捨ててしまった。
next ➷➷➷
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。