第51話

51.
905
2021/11/11 17:11


恭平「寝る?」
あなた「うん、」
恭平「疲れたもんな。」


わたしはソファーに寝転んだ。



恭平「ベッド使いや」


あなた「恭平使って、ベッドは。」


恭平「あかん。あなたがベッド。」







恭平はわたしの身体を抱き上げ、


ベッドに運んだ。







あなた「いいのに、ほんま、」


恭平「よくない。」





…あれ、なんか、

身体重くなってきた。



…最近、

あかんな。



わたしこの仕事やっぱ向いてないかも。





長期の撮影が、

負担すぎる、







恭平「…しんどいよな、」
あなた「恭平、」




わたしは、

身体を起こし、



恭平をじっと見つめた。


恭平「どうしたん…?」
あなた「わたし、辞めようかな。この仕事。」
恭平「…あなたがもう続けるのしんどいんやったら、そうしたらいいと思う。無理に続けさせる理由はないし。でも、」

恭平は、

少しの間黙り込んだ。



あなた「…恭平、?」
恭平「俺は、…あなたの演技、好きやで。」


…すごいな、




あなた「しゅんとおんなじこと言うんやね。」
恭平「…同じやったら、俺やあかんの?」
あなた「え?」




それって、

どういうこと…





恭平「みっちーと、より戻したやろ」


あなた「聞いたん?」


恭平「2人見てたらわかる。…もう、今更遅いってわかってる。けど、」





…まさか、

いや、そんなこと、






恭平「俺やっぱり、あなたのそばおりたいねん。」

…っ、

恭平「俺はっ… あなたのことが、ずっと前から好きや。」



嘘、やろ、


なんで、?

恭平「みっちーと会うよりずっと前から、俺はあなたが好きやったし、…ずっとずっと、そばにおったのに、なんで、」



…わたし、

恭平のこと、


そういうふうに見たことは、なかったかもしれない。




あなた「…恭平は、家族、みたいな存在で。だから、その、」
恭平「恋愛対象やなかった?」


わたしは、

小さく頷いた。






あなた「ごめんなsっ…!?」


恭平は、

わたしの口を塞ぐように、


強引にキスをした。





びっくりして、動けなかった。


キスは、どんどん、深くなっていく。



ダメ、これ以上は、



あなた「きょ、…ンッ、…きょうへ、…っ、」



わたしは、

恭平の身体を遠ざけるように、


腕を、ぐっと押し出した。





恭平は、

我に帰ったように、


目を見開いて、わたしを見た。






恭平「ごめんっ、俺、…ほんまごめん。怖かったよな、ほんまに、ほんまにごめん。…っ、、俺、なんでこんな、」
あなた「…ううん、怖くなんてないよ、大丈夫。」
恭平「大丈夫やないやろ… 襲うようなまねされて、…大丈夫なわけない。ほんまに…ごめんじゃ済まへんけど、…ほんまに悪いと思ってる。ごめん。ちょっと、おかしかったわ、俺、」
あなた「ほんまに大丈夫。…謝るのは、わたしの方やから。思わせぶりやったよね、ずっと。ごめんね。」
恭平「あなたは悪くない。…もう、絶対せえへんから、…やから、」




わたしは、

恭平の手をぎゅっと握った。


あなた「恭平には、ほんまに感謝してるよ。ありがとう、いつも。」
恭平「っ…」
あなた「…寝るね。」



わたしは横になり、

壁の方を向いた。


…気まずく、なっちゃうよね、これから。


変わりたくないよ、今までと。



今日のことは、全部無かったことにして、


ずっと、

今まで通りに…





なんて、

わがまますぎるよね。






…わたし、

酷い人やな。





恭平は特別。そんなこと、側から見たら関係ない。




しゅんと付き合ってるのに、

こんなに恭平にも頼って、家にまで招いて、



ただのたらしやん…






しゅんも、

もし今日のこと知ったりしたら、

優しいから口には出さへんやろうけど、


きっと、なんやねんこの女って思う。





もう、 

恭平に頼って生きていくのは辞めなくちゃ。






そうやないと、

恭平にも、しゅんにも、失礼やんな…








次の日、恭平は朝一で帰っていった。


その背中は、

いつもより、弱々しく見えた。





…ごめんね。恭平。








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