" ちょっと遅くなる "
そう連絡が来てから、
もう1時間が経った。
1人でいるには広すぎる部屋に、
なぜか、不安になってきた。
わたしは膝を抱えて、
ベッドの隅に座った。
身体が、
重たい。
このまま寝ちゃいそう、
そう思った瞬間、
部屋のドアが開く音がして、
わたしは顔を上げた。
駿佑「ただいま。どうしたんそんな端っこで笑」
しゅんはベッドに腰掛け、
わたしの顔を覗き込んだ。
あなた「寂しかった」
駿佑「ごめんな、待たせて。俺もシャワー浴びてくるから、ちょっと待っとってな。」
小さく頷くと、
しゅんは優しくわたしの頭を撫でた。
なぜか少し、
泣きそうになった。
________________________________________________
お風呂から上がると、
あなたはまだ同じ場所に、同じ体勢でいた。
駿佑「まだそこおったん笑」
あなた「うん、」
駿佑「髪乾かすからちょっと待ってな」
あなた「うん、」
髪を乾かしてる間も、
あなたはじっと動かない。
なんか置物みたいやな、
髪を乾かし、歯も磨き、
俺はあなたの横に座った。
駿佑「お待たせ」
…寝てる、?
駿佑「あなた~、」
あなた「…ん、、」
駿佑「そんな格好で寝たら首いたなんで」
あなた「もう痛い、」
あなたは身体を立て直し、
俺にぎゅっと、抱きついた。
あなた「あったかい、」
駿佑「昨日も思ったけど、あなたなんか縮んだ、?」
あなた「しゅんがでかなっただけやろ、会うたび伸びてるもん、」
駿佑「そうかな?あなた身長どんくらいなん?」
あなた「159とかかな、流星とそこまで変わらんやろ?」
駿佑「あー、確かに、流星くんにぎゅーしたときと頭の位置そんな変わらんかも、」
あなた「…え、流星とぎゅーしてんの」
駿佑「うん…?あ、嫉妬?」
あなた「なんでよ。かわいいことするねんな、笑」
駿佑「かわいい?笑」
あなた「かわいい」
あなたは布団に入って、
ぎゅっと目を閉じた。
駿佑「眠い?」
あなた「うん、なんか疲れた、」
駿佑「お疲れ様。」
あなた「しゅんも布団はいろ?」
駿佑「うんっ」
布団に入ると、
あなたはすぐに
またぎゅっと抱きついた。
駿佑「積極的やな笑」
あなた「会いたかってんもん」
駿佑「…なんかやなことでもあった、?」
あなた「え?」
駿佑「そんな寂しがることないから、」
あなた「なんもないけど、…はよ会いたかったの、ほんまに、…寂しくて死にそうやった、」
駿佑「うさぎやん笑 俺もはよ会いたかった、打ち合わせ最後の1時間あんま頭に入ってないわ」
あなた「あかんやん」
駿佑「まあ大丈夫なはず、笑」
小さな頭をそっと撫でると、
あなたはふわっと笑った。
駿佑「かわいい笑」
赤くなった頬を手で覆うと、
あなたは顔を上げた。
駿佑「ほっぺ熱い」
あなた「誰のせいやと思ってんの、」
駿佑「だってほんまにかわいいねんもん」
あなた「…しゅんのほうがかわいいわ、」
駿佑「なんでよ笑」
あなた「わんこみたい」
駿佑「え~、、」
あなた「おやすみ、」
駿佑「唐突やな笑 明日早いん?」
あなた「そこまでかな、…明日、ほんまに一緒に帰れるん?」
駿佑「うん。一緒に帰ろな。」
指定席はほぼ満席やったし、
もし見つかっても、
隣に人おることに違和感はないはず。
あなた「ありがと、」
駿佑「一緒にいたいもん」
あなた「うん、…一緒に、いよね、出来るだけ」
あなたはそういうと、
ゆっくり目を閉じた。
明日も、
明後日も、
ずっとこうやって、
あなたが眠るのを見届けられたらいいのに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。