東京駅は、
サラリーマンで混み合っていた。
わたしは、
しゅんの腕をぎゅっとして、
新幹線を待つ列に並んだ。
駿佑「あとちょっとで来るからな」
あなた「うん、」
しゅんは、
わたしの顔を覗き込み、
そっと頬を撫でた。
駿佑「何浮かない顔してるん?」
あなた「…まだしゅんといたかった、」
駿佑「大阪までまあまあ時間あるで笑」
あなた「そやけど、、」
我慢できなくて、
わたしはぎゅっと、しゅんに抱きついた。
駿佑「っ、// …じゃあ、あなたの家、行こうかな」
あなた「ううん、…お家、ちゃんと帰らんと、お母さん、しゅんのこと待ってるよ。」
駿佑「…そうやね、」
帰りたくないな、
1人やし。
わたしも、待っててくれる人がいたら、
もう少し、気持ちも楽なのかな。
あなた「しゅん、」
わたしは、
しゅんにぎゅっと抱きついた。
そして、マスクを下げ、精一杯背伸びをした。
駿佑「ぜんぜん届いてないで?笑」
あなた「だってしゅんでかいねんもん」
駿佑「あなたがちっちゃいねん」
あなた「だからしゅんがでk、…ん、」
しゅんは、
少し屈んで、
わたしにそっとキスをした。
あなた「…公共の場やで、」
駿佑「あなたがしようとしてたくせに笑」
あなた「…そやった、」
駿佑「かわいすぎんねん、ほんまに、」
しゅんはそう言うと、
また顔を近づけた。
あなた「もうだめ、」
駿佑「え〜、あ、新幹線来たな。」
あなた「…うん、」
新幹線に乗り込み、
座席を探す。
駿佑「ん、そこや。」
あなた「しゅんどっちがいい?」
駿佑「あなた窓側でいいよ。酔いやすいやろ?」
あなた「うん… ありがと。」
覚えてて、くれたんだ。
なんだかちょっと、嬉しくて、
頬が緩む。
座席に座るとしゅんはすぐに、
肘掛けを上げた。
あなた「はやいな笑」
駿佑「邪魔やもん、笑」
しゅんは、
わたしの方にもたれかかると、
ぎゅっと手を握った。
駿佑「…指細なった?」
あなた「え?…どやろ、」
わたしはネックレスを外し、
チェーンに通していた指輪を取った。
駿佑「え、?それって、」
あなた「去年の誕生日に貰った指輪。」
駿佑「取っておいてくれたん…?」
あなた「捨てようかと思っててんけど、…どうしても無理やって、やから、しまいこんでた。でも、この前また出したの。お仕事のときとか、つけとくとなんか安心するねん、」
…あれ、
なんか重いなわたし、
あなた「ごめん、重いな、」
ちらっとしゅんをみると、
顔を真っ赤にしていた。
駿佑「っ…// ううん、…めっちゃ嬉しい、//」
あなた「ほんま、?」
右の薬指に、
わたしは指輪をはめた。
あなた「あ、、」
駿佑「おっきい?」
あなた「うん、ちょっと。お直しだそかな…」
駿佑「え、直せるん」
あなた「直せる、はず、」
あれから、
一年か、もうすぐ、
駿佑「誕生日空いてる、?」
あなた「たぶん、空いてたと思う」
駿佑「一緒に過ごせへんかな、」
あなた「いいん?」
駿佑「直接お祝いしたい」
あなた「っ、// …ありがと、一緒に過ごそか。」
しゅんは、
パッと笑顔を浮かべ、
わたしにぎゅっと抱きついた。
去年はお互い仕事で、
一緒に過ごせなかった。
こんなに楽しみな誕生日は、
初めてかもしれない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!