の、っの、松野!!」
ん、、
やば、寝てた。
顔を上げると、
目の前には先生がいた。
先生「忙しいのはわかってるけど、ずっと寝てるやろ。ちゃんとやってるやつもおるねんからしっかりし?」
あなた「…すみません、」
…頭いた、、
寝過ぎたかな。
瞼、重い、
なんて思ってたら、
チャイムがなった。
「起立、」
…やばい、
立てない、
先生「松野、まだ寝てるん?」
あなた「っ…」
流星「…先生、松野さんしんどいんやと思います、」
流星…
先生「号令、していいよ」
「…気をつけ、ありがとうございました」
気持ち悪い…
目が、ちかちかする。
流星「大丈夫?」
あなた「…保健室、行ってくる。先生に言っといてもらっていい?」
流星「うん。1人で行ける?」
あなた「大丈夫、」
なんとか力を振り絞って、
わたしは歩き出した。
廊下、なんか人多い。
…そっか、もう、昼休みだ。
周りの音が、
どんどん遠くなっていく気がした。
気づけば、前もほとんど見えなくて、
これ、どうしたらいいん…?
あなた「っ、」
「あっ、」
誰かと、肩がぶつかって、
わたしはそのまま座り込んだ。
「ちょ、松野あなたじゃん。」
「え?大丈夫ですか?」
まわりが、
ざわつき始める。
最悪…
「なに?倒れた?」
「最近忙しそうだしね」
「先生呼ぶ?」
「えー、はよ食堂いこ?」
「やな笑」
動けない、
どうしたらいいん?
ねえ、
誰か…
見てないで助けてよ、
誰か、って、
誰もおらんよね。
…もうなんでもいいから、
そんなに騒ぎ立てないで、
「あなたっ!」
そう名前を呼ばれた瞬間、
身体がふわっと浮いた。
目を開けると、
しゅんが、
わたしの顔を心配そうに見ていた。
駿佑「ちょっと我慢してな。」
女子の、叫び声が聞こえる。
悲鳴に近い声だった。
なんで?
なんで…
学校やで、ここ?
こんなに人おるのに、
何考えてるん?
いろいろ、
変なこと言われるかもしれないのに。
でも、
嬉しいって、思ってしまった。
しゅんの腕の中は、
広くて、あったかくて。
あなた「しゅん、」
駿佑「ん?」
あなた「ありがと…」
しゅんは、
照れたように、頬を赤くしてはにかんだ。
ずるいよその顔。
わたしはぎゅっと、
目を瞑った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。