第22話

22.
1,618
2023/02/28 23:34


駿佑「寝た、?」
あなた「…、、」


寝ちゃったか。



あなたは、何かに怯えている子どもみたいに、


俺の胸にぎゅっとしがみついて眠っていた。



顔は、少しこわばってるように見えた。



駿佑「大丈夫やで…」


俺はそっと、

あなたの頬を撫でた。






あなた「…ごめん、なさい…、」
駿佑「え?」
あなた「…、」


寝言、?
ごめんなさいって、

何にやろ。









その言葉が、

気になって、ぜんぜん寝れんくて。


恭平が言ってた、


"いろいろ"と、

なんか関係あるんかな。





どうしても気になって、


俺は恭平に電話した。





恭平 " なに?こんな時間に。 "


駿佑「ごめん。…ちゃんと、知りたくて。あなたに何があったんか。」


恭平 " …また、一緒におるん? "


駿佑「おるよ、あなた帰りの車で寝て、起きへんかったから、部屋連れてきた。」





しばらくの沈黙のあと、

恭平は、話し始めた。



恭平 " 話すで。…あなた、もともと嫌がらせ受けててん。同じグループやった人に。…あなた、一番人気やったからさ、妬まれてたっていうか、"



え?

そんなん、初めて聞いた。





恭平 " その人、ジャニーズ好きやってんて。で、あなたがたまたまみっちーとLINEしとるとき、スマホ見られて…嫉妬したんやろうな。どんどんやることエスカレートしてって、付き合ってるんがバレたわけではなかったんやろうけど "


駿佑「え…」


恭平 " たぶんやけど、その人と繋がっとった男に頼んでストーカーさせたり、変な手紙送り付けさせたり。あと、ライブ中、足刃物で切られてん。 "






嘘やろ…?


信じられへんくて、

言葉も出なかった。




恭平 " ライブ中断させたくないって、あなた、誰にも言わんと、はけて、タオル巻いて乗り切って帰ってきた。警察いこって言ってんけど、他のメンバー怖がらせちゃうからって。…これからもあったら、迷惑やしって、卒業した。多分、相当辛かったのもあるけど。 "




そんな、…なんで何も言ってくれんかったん?




恭平 " それと、みっちーに言うなって。心配かけたくないからって。…それからちょっとして、別れて。みっちーが1番の支えやったのに。あのライブの日から、外怖くなって、学校も行かれへんくなって。それでも、みっちーとの約束の日だけは、頑張ってたし、会いたいからって、お前のこと話してる時だけは笑顔やった。なのに、"



涙が出た。

そんな思いしてたのに、

そんなこと思ってくれてたのに。



なんも聞かんと、

別れて。




でも意味なかった、

守るために別れたつもりやったけど、


守れてなかった。




俺、なんも気付けへんかった。


…逃げただけやん、

こんなん。

恭平 " 今は大丈夫なったけど、あなたずっと、苦しんでてんで?毎日泣いててんで。みっちーが、逃げたから。1番の支えが無くなったから。…これ聞いても、まだ一緒におれる?"


恭平の言う通りやった。



俺、あなたのことぜんぜんわかってなかった。



自分勝手やった。


やっぱり、

まちがってた。








駿佑「…グズッ、」


恭平 " 泣きたいのはあなたの方やろ。 "


恭平はそういうと、

電話を切ってしまった。





…俺には、

あなたの横にいる資格なんてないんや。



恭平があんな必死な理由もわかるわ。


ごめんな、あなた。

…ごめんなんかじゃ、すまへんよな。




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