ガコンッ
私は誰かに頭を重い何かで殴られた。
誰が殴ったのかは分からないが、おそらくバットで殴ったの
だろう。
私は意識を失っていった。
目を覚ました時には、私の両手がロープで縛られていた。
そして、寝室の床を見ると、血がついていた。
動くたびに頭から強い痛みが走る。
私を殴ったのはおそらく人狼だ。
殺すなら一発で殺せばいいのに。
そう思った。
ドアノブを回すが、鍵がかかっていた。
その時だった。
ドアを開けて、誰かが入ってきた。
この声は…
意外と殺されることに恐怖を感じなかった。
もちろん、死にたくはない。
人間は不思議なものだ。
じゃあ、モモカとレイは人狼ゲームが始まる前から知り合ってたって
ことか…
まぁ、今さら私が人狼とバレたところで、何の問題もないか。
そう言うと、モモカはポケットからなにかを取り出した。
よく見ると、モモカが手にしている物は爆弾のような形をしていて、
栓を引っ張るとガスが出るようだった。
そして、モモカは栓を引っ張った。
プシュー
白い煙が出てきている。
煙で前が見えない。
モモカはそのすきに寝室を出ていったようだ。
意識が朦朧としてきて、呼吸が苦しくなってきた。
でも、こんなところで死にたくない!
私は必死に出る方法を考えた。
その時、寝室の壁に通気口の穴が見えた。
私はおぼつかない足取りで、通気口まで向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!