プリ小説

第12話

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ちーちゃんの言うそのカフェは駅から数分のところにあって、どことなく懐かしいような落ち着くような、まさにちーちゃんそのもののようなカフェだった。



席について、紅茶とケーキが運ばれてきても2人は口を開こうとはしない。


きっと、私が話すのを待っていてくれているんだと思う。






「…………さっきのね、話なんだけど……」


小さく呟いた私の声も2人の耳に届いたらしく2人は俯きかけていた顔を真っ直ぐ私に向けた。




それから私は時間をかけてゆっくり全てを話した。





好きな人は本当にいること。



それが4歳の時、京都の親戚の家に遊びに行って迷子になった時に出会った男の子だと言うこと。



その時男の子がくれた言葉も気持ちもしっかり覚えているのに、肝心の顔と名前が分からないこと。



思い出そうとしてもどうしても思い出せないこと。



私が東京に帰る時の光景がよく夢に出てくること。



















全てを話した。












2人は最後まで1度も目を逸らさずに聞いてくれた。

















運ばれてきた紅茶はもうとっくに冷め切ってしまっていた。






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「覚えてないって1つも?」

「うん、顔と名前はもうさっぱりで」

「…でも、会ったのって4歳の時なんだよね?だからかもしれないよ?」

「そうね、千草の言うことも一理あるわ」

「そうだ!京都に行った時もしかしたらその男の子に会えるかもしれないよ?」


ちーちゃんの言葉に私は俯いていた顔を上げた。



「確かに、可能性は低いけれど会える可能性だってあるわね」


「……でも、どこに住んでるのか分からないし。それ以前に今も京都に住んでるかなんて…」


「あー、もう!実生は深く考えすぎよ!修学旅行で京都に行ってその時に会えたらラッキーとかそういう気持ちでいればいいでない」






「大丈夫だよ、実生ちゃん」


ちーちゃんは優しく微笑みながら、




「実生ちゃんが会いたいって思って、その男の子も会いたいって思ってたら必ずまた会えるんだべ?夢にまで出てくるんだもん。その男の子だって実生ちゃんに会いたいに決まってるよ!」


「ちーちゃん……」





ちーちゃんの言葉に私はつい涙が出そうになった。

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咲笑
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咲笑
咲笑と書いてさえと読みます! 趣味は、アニメを見ること、小説を書くこと、お菓子を作ること、 声優さんの歌を聴くこととか…。 アニメが大好きです! 約ネバにハマってます! ヒプマイらぶです。 声優は、しもんぬ、ゆうたん、斎藤壮馬さん島崎さんとか全員大好きです!!