第7話

ファンタジーの日常 -5 【夜と蝶】
59
2021/04/06 05:05
-狭霧 視点-
あれから何時間、森をさまよっただろうか。
辺りはもう暗くなっていた。

なんだかんだで着いてきたしおんちゃんは、夜でも視界良好らしい。
猫は夜行性だからね、その能力が受け継がれてるのかな。

聞いてみれば、しおんちゃんは猫と人間のハーフ…獣人らしく、本人は言われるまで気づかなかったとか。
普通、耳とかしっぽ生えてたら気付きそうなんだが…
まあ、異世界に来たらそんな余裕もないか。
クロ
クロ
おぉ!?あっぶね…
狭霧
狭霧
さすがに暗いな
あまり暗いと足場が不安定で、いつ襲われるか分からない。

そこで、私はボス狼にした時と似た、閃光をボール型に圧縮された即席ライトを作り上げる。
ボス狼の時と少し違うのは、フラッシュバンの効果ではなく、ライトの効果を持ってることだ。

こうやって、少しの工夫で魔法が色んな事に使えるのは、新しい感覚があって楽しい。
テンプレートな魔法の使い方は面白くないしね。
クロ
クロ
ライトありがてぇ〜
狭霧
狭霧
私も視界明るい方がいいからね〜
猫しおん
猫しおん
眩しいのは苦手…
狭霧
狭霧
ん、じゃあ少し小さくするか…
クロ
クロ
器用だね〜
狭霧
狭霧
色々いじるとなんかできるんよ
クロ
クロ
へぇ…俺もやってみようかな
狭霧
狭霧
クロさんもなんか魔法あるの?
クロ
クロ
いや?
クロ
クロ
けどスキル系列で使えそうなのはあるかな
狭霧
狭霧
どんなのっすか?
クロ
クロ
ほら、影移動とかさ
狭霧
狭霧
あー…
思えば、クロさんの使ったスキルは影移動と、パッシブかなんかの緊急回避だけだ。
ほぼほぼ弓だけでサクッとやってたから、必要無かったんだろうけど。
他にどんなスキルあるか気になるな…
狭霧
狭霧
ちなみに、他にどんなスキルあります?
クロ
クロ
えーっとね…ブラックスモーク
狭霧
狭霧
ほう
クロ
クロ
簡単に言うと、黒色の煙玉だね
猫しおん
猫しおん
なるほど
狭霧
狭霧
あ、しおんちゃんは?
猫しおん
猫しおん
なに?
狭霧
狭霧
スキルとか…職業聞いてないし
猫しおん
猫しおん
僕は…しろくろまほーし?
狭霧
狭霧
白黒魔法士?
猫しおん
猫しおん
うん。白黒と、魔法の魔と、砲台とかの砲に、士をくっつけて白黒魔砲士
クロ
クロ
はえ〜
てっきり、罠を使ってたからトラッパーかと思ってたけど、魔法関連の職だったのか。
そういや、イノシシとどめ刺した時も、雷の魔法使ってたな…

まあ、しおんちゃんらしい技構成だ。
罠と魔法って、なんとなくしおんちゃん好きそうだし。
というか、とあるゲームじゃ、しおんちゃん楽しそうに地雷仕掛けまくってたし。
他にも本人らしい技覚えてそー…
クロ
クロ
あ、ねえねえ!猫さん、さぎさん!
狭霧
狭霧
んー?
クロ
クロ
ここ、いい場所なんじゃない?
クロさんの指さした方向を見ると、何があったのか、数本ほど木々が倒れていた。
狭霧
狭霧
えっと…それって、泊まる場所ってこと?
クロ
クロ
森の中、ずっと歩くのは危険だし、こういう少しひらけた場所がちょうどいいのかなと
狭霧
狭霧
ふむ…
本音を言えば、あまりこういう森で寝泊まりしたくはない。
安全性が皆無だからだ。
テントとか、そーゆーのがあるなら別だけど…
今はそんなこと言ってられない。

クロさんの話はもっともだ。
木という障害物の多い場所で休むより、少しひらけてて安全確認しやすい方が割と対応できる。
ここは腹をくくって、この場所で休むとするか…
狭霧
狭霧
じゃあ、ここで休むとしますか〜
猫しおん
猫しおん
はーい
クロ
クロ
あいよ〜
ライトである閃光の玉をそこら辺に設置し、よっこらしょと、倒れた木の上に腰掛ける。
二人も続いて、そこら辺の倒れた木に座っていく。

木が丸くて椅子にしては座り心地悪いけど、さほど気にすることでもない。
座高的には問題ないし、木を背に寝るのも案外悪くなさそう。
いい休憩スポットかもしれん。
しばらくして、疲れてしまったのか、クロさんとしおんちゃんの目がだんだん細くなっていき、いつの間にか二人は寝てしまっていた。

一方の私はというと、あまり寝れる気がしなかった。
人前で寝るのが苦手というのもあるが、座っているとあまり眠くならないのだ。
それに、私は寝落ち経験がほとんどない。
寝ない気になれば、そのままオールだってできる。
頭痛くなるからしないんだけどね。
狭霧
狭霧
二人も寝ちゃったし、一人で見張りでもしとくか…
にしても、二人にかけてやる布がないな。
そのまま風邪ひかないといいけど…
この異世界でも、そういうことがあるのかは知らないが、なんにも包まず寝るのは寒いだろう。

せめて上着でもかけようかと思ったが、私の着ていた服を布団がわりにさせるというのも気が引ける。
第一、しおんちゃん潔癖だし。
結論、二人掛けてやるもんはない。
しゃーねー。
狭霧
狭霧
ふあぁ…これから、どうしようかね
まだ陽の昇らない夜空を見上げ、そう呟く。

内心、不安だらけだ。
この先、私はどうするべきなのか。
今後、強い魔物に会った時、無事に生きられるか…
他にも挙げたらキリがないほどの不安。

しおんちゃんの記憶も、どこまで失ったか分からないけど、取り戻せたらなと思う。
普段と変わらない返答をしてくれるが、まだ少しよそよそしい。
一応、異世界でもリアルの私たちと話しているのに変わらないから、それで緊張してる説もあるが…
狭霧
狭霧
せめて名前だけでも覚えてたらなぁ
話しやすくなるのは、私にとっての必要事項。
コミュニケーションのとり方迷うもん。
狭霧
狭霧
はぁ…
考えすぎて脳が疲労し始めてきた頃、目の前にキラキラと紫色の粉が降って来た。
狭霧
狭霧
…蝶々?
紫色の粉の正体は、私の前によく現れる蝶々のりんぷんだった。
蝶々は私の目の前で、なにか伝えたそうにしている。
狭霧
狭霧
どうしたの?蝶々さん
そう言って、蝶々の前に指を差し出すと、蝶々はその指先にとまり、瞬く間にポンと消えてしまった。
ぼーっと名残惜しく舞うりんぷんを眺め、ふと蝶々のとまっていた指先を見る。

しかし指先には粉一つ着いておらず、まるで幻でも見ていたかのような不思議な感覚に襲われる。

…あの蝶々は、幻だったのだろうか?
でも、確かに見た。
この目で。
しっかりと記憶している。
それ、なのに。
狭霧
狭霧
めまいが、する
急に視界がグラグラと歪み、体が自然とよろめく。
頭痛や耳鳴りも酷く、嗚咽しそうになるのも束の間、ついにはバタリと地面に倒れ込む。
狭霧
狭霧
なんで…?
初めて味わう苦痛に困惑し、やがて私は意識を手放した。

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狭霧
狭霧
やあやあ、あとがきトークの時間だよー
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
( 厂˙ω˙ )厂うぇーい
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
ねぇねぇ狭霧ちゃん、蝶々って一体どういうやつなの?
狭霧
狭霧
んー、あんまり言えないっすけど…
狭霧
狭霧
あれは悪いやつじゃない、とだけ伝えますね
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
まーそれは分かるんだけどさぁ
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
なーんか重要そうなんだよね〜
狭霧
狭霧
言うてですよw
狭霧
狭霧
今はまだ、分からないだけですから( ˇωˇ )
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
え〜!気になるぅ〜!
狭霧
狭霧
尺も伸びるのでここら辺でね、締めようか
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
おっけい!
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
次回!!なんか知らんけど朝来てたわ。です!!!
狭霧
狭霧
ええ?w
天狗@(_・ω・)_タアン!
天狗@(_・ω・)_タアン!
ってことでまたね〜!
つづく…

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