-？？？-


夢を見た。
大人になって働く夢。
獣になって森を守る夢。
魔女になって誰かを呪い殺す夢。
神になって世界を創る夢。
剣と魔法の世界で勇者になる夢…

いくつ夢を見たのだろう。
今いる世界も、本当の世界か、夢の世界か分からない。
…本当の世界なんて無いのかもしれない。

あぁそうか、ワタシは…

-狭霧 視点-

ダルそうに呟くカミサマ。
脱力系の神様って、どっかのゲームにもいたよね。
それと同じ…とまでは言わないけど、ありふれた設定に思う。
違うとこを挙げるなら、見た目だろうか。


目覚めた時、私は不思議な空間にいた。
そして、私の目の前にいたのはこのカミサマ。
カミサマは出会ってすぐ、自身をカミサマと自称し、事の説明をしてくれた。
見た目がカミサマらしくない、堕天使のような姿だが…
まあ、なんでもありだよねこの際。

欲を言えば、お金が欲しいよね。
ゲーム関連だけじゃなく、CDやPC買える可能性あるし。
まあ、異世界に行くとなれば、そういう願いじゃないんだろうけど。

とあるアニメだか漫画では、スマホを持ってける異世界転生があったが、さすがにそこまでご都合に沿えないらしい。
いや、沿わなくていいけど。
実質、異世界自体ゲームみたいなもんじゃん…

異世界の職業か…
おそらく、職業というのだから、一般的に有名な魔法使いや剣士は冒険職として扱われる。
つまり、冒険職以外が存在するんだろう。
例えば、商人だとか、漁師さんだとか。

そりゃそうだよな…
なんともなく暮らせればそれでいい。
しかし、それじゃあ面白くない。
この際、冒険して楽しんでみるのもアリだ。
たまには、チャレンジしてみようじゃないか。

やはり、君たちと複数指していたのは、あの配信を見てたみんなも来ているからだ。
巻き込まれた…と言うのが正しいかも。
とにかく、みんなと合流できる可能性があるのなら…
みんなの選ばなそうな職業を選びたい。

まあ、みんな冒険職以外は選ばないよね。
たーくんさんなら選びそうだけど。
冒険職でも選ばなそうなのは…前衛職か。
やだなー前衛張るとか。
するなら防御に全振りしたいよね。
あのアニメみたいに。

…分かってる。
とはいえ、悩む。
どう考えても、自分に攻撃や技術職は合わない。
いや、技術職はなんとかなるかもしれないけど。
一番お似合いなのはサポート職か。

魔法に憧れあるから魔法使いでもいい。
黒魔術師とかカッコイイよな〜。
ま、白魔術師になって回復系扱えるならそれがいいかも…

言動からして、これから行く異世界に対応した願いしか聞き入れないのだろう。
いや、もっと限定的かな…
とりあえず、能力強化できるなら、その方が良さそう。

差し出された綺麗な手に、自分の手を重ねる。
その瞬間、私の手のひらから光が放たれ、次第に紫色の紋章？が現れた。

しばらくして、光が落ち着くと、そっとカミサマの指が現れた紋章？をなぞった。

行く異世界はファンタジーの世界。
魔物が存在し、魔法も能力も存在する。
となれば、生死も危うくなる…
あるアニメでは、死に戻っていたりしたが、そんなご都合は効かないだろう。

多分、カミサマは異世界に行った私たちに直接関与できない。
そこで死んでしまったら、助けられないんだろう。
想像したくは無いが。

そう言ってカミサマが私の手を離すと、急に自身の身体が重くなる。

空に落とされる感覚。
ふわりとした意識の中で、カミサマが呟く声だけは聞こえた。


その意味も分からぬまま、私の視界は暗転した。

--------------------------------

つづく…