-狭霧 視点-
私とクロさん、しおんちゃんが森を出て数十分後。
おそらくは配信にいたであろう日常全員が、この町アスフォートで奇跡的にも集合した。
そこで私たちは休憩含め、しおんちゃんが見つけた飲食店で食べ物をつまみながら、色々会話して情報交換をしている。
まあ、いつもの会話と大差ないけど。
みんなはそのことを聞いてないのか。
そういや、私は質問したからな…
カミサマ必要以上のことは言わなそうだし、まあそんなもんか。
そう言葉を濁すクロさん。
そりゃあ会ったことあるよな。
狼と戦う前に、説明を直で聞いたもんな…
我ながら愚問だった。
しかし、そんな気になることはあったか?
なんか一人論外おるんやが。
まとめると、完全に覚えてるのは、私とたーくんさんとるんさんかな?
で、存在は知ってるけど覚えてないのがクロさんとアクアちゃん。
全く覚えてないしおんちゃんに、論外1名と。
しおんちゃんの時も思ったけど、この差ってなにか理由あるんだろうか…
咲夜さん、相変わらずだな。
私も何か記憶を失ってることについては、言わないで置こう。
現状、問題ないし、アクアちゃんとかに心配されて話がグダるのも好かん。
聞いてる感じ、みな特に問題無さそう。
記憶障害があっても、それに探りをいれたらこっちのこともバレるだろうし…
この話は一旦やめるか。
とりあえず、案としては装備品を整えることと、敵を倒してスキル追加を頑張るか。
両方、いうて大事なことだ。
すぐにでもやることは可能だし、ハードルも高くない。
これは順番付けた方がいいね。
RPG的な考えをするなら、敵を倒してレベリングからだろうか?
ここの飲食店は金額を先に支払う代わりに、何をどれぐらい頼んでもお金がかからない。
バイキングのようなシステムだ。
お金は手持ちの額で間に合ったからいいけど、暴飲暴食でキラキラ吐かれても困る。
咲夜さんにはストップかけとかんと…
ということで、ある程度休み終えた私たちは、この町近辺に雑魚系魔物がたむろう場所を探すことにした。
とはいえ、この町の近辺にそんなスポットがあるとは思えん。
多分、私たちはお互い町を挟むようにしてここに来た。
それで道中に魔物のいるとこがあるかと言われれば、無論無いのだ。
行くとしたら、またあの森だけど…
迷いやすいから、方向音痴のアクアちゃんや、何するか分からない咲夜さんを連れて森を歩くのは賛同できない。
何か、他の場所があればいいんだけど。
るんさんの言う通り、ここら辺のことをよく知る住民であれば、ある程度の情報は得られる。
聞き込みは情報を得る一つの手段だ。
だが、その手段にも一つデメリットが…
そう、日常の半分はコミュ障なのである。
私も一応コミュ障。
口下手なので、あまり自分も話しかけたくはない。
しかし、話しかけなくては事は進まん。
どうしたものか…
付近にいる町の住民に話しかける二人を見送り、私を含めたその他はその場に立ち尽くす。
そこで私は話題を切り出した。
私は森を抜けてからステータスを確認して、スキルにいつの間にか追加されたことを確認している。
もしかしたら、ボス狼戦が経験値となってスキルを増やしたのかもしれない。
しおんちゃんはともかく、ゴーレム戦を終えたアクアちゃんや咲夜さん、クロさんにも何か新規のスキルがあるかも…
という考えから、るんさんとたーくんさんが情報収集してる間、そのチェックをしようと思ったのだ。
こうして、待機組の私たちはステータスチェックを行うのであった。
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つづく…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。