-るん 視点-
僕たちは石の巨人と戦闘し、横から現れた咲夜さんによって無事戦闘に勝つことができた。
あれだけ時間をかけ、攻撃の通らなかった相手を咲夜さんがワンパンで溶かしたのには驚くことしかできん。
なんなら、僕たちどんだけ攻撃力低いんだよって悲しくなるわ。
そして今は、現れた咲夜さんに色々と説明している。
咲夜さんらしいというかなんというか…
やっぱりアホだなこの人。
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咲夜さんにステータス画面のこと、僕たちの職業のことなど説明したが、ちゃんと頭に入ってるか分からんこの人。
一応、今ステータス画面を見てるけど…
咲夜さんの職業の読み上げを聞く限り、バーバリアンは脳筋仕様な職業みたい。
ざっくり言うと、めっちゃ身体能力の高い戦闘民族。
スキルで戦闘時は身体能力がめっちゃ高くなり、それを使って格闘で追い込む。
それが戦い方かな。
あまり難しい説明はなく、本当に脳筋な職業だ。
拳で解決するやんちーと変わらん。
ただ、身体能力が高い状態がつづくとHPが削られ、単体にしか攻撃出来ない。
単調故に、対策されやすいだろう。
咲夜さん自体が指示をどれぐらい受け付けるか…
少なくとも僕の記憶から、ここにいる人たちの共通点はたーさんの配信を見てたことだと思ってる。
そう仮定したら、必然とあそこにいたクロさんや狭霧さんたちも来てるはずだ。
出来れば合流したい。
ここの人たち今んとこ集まってるの天然しかおらんもん。
不安でしかないよ…
行き先の目処、というかどこへ行くべきかというのは僕でも分からない。
だから明確にここへ、とは言えない。
でも、一つの目的として、僕たちはこの異世界で生きるという目的がある。
つまり、僕たちは僕たちで生存するための手段を考えなきゃいけない。
そのための安全策・安牌は…
どのゲームでも、まずは拠点を作ったり、街に行って装備を整えるもの。
現状、僕たちは装備ノーカス状態(何も付けてない)。
その状態で探し回るのは自殺行為だろう。
よって、今僕らに必要なのは準備!
スキルもろくに揃ってないわけだし、ここは慎重に行動しなきゃ。
とにかく、目的地は決まった。
アクアさんはあんな感じだけど、何も目処がない状態でさまよう方が危険で無駄。
向かっても無理だったら、それはそれ。
考えようには、ずっと前向きでいられる。
…だから、深く考えなくてもいいんです。
右往左往して困惑気味のアクアさんをなだめ、改めて僕たちは出発の準備をする。
僕は石の巨人が吹っ飛んだ場所を、みんなが準備してるうちに探索していた。
そこで、僕はある物を発見する。
ある物、それは不思議な感じのする石のこと。
巨人と戦う前に見た、あの変な文字の書かれた石と似た雰囲気を感じる。
なんとなく、僕はその石を拾い、すっとポケットの中にしまう。
やっぱり、石持ってくの罰当たりかな…
なんて少し思ったが、あの巨人ぶっ倒れしてるし懸念しなくて良さそう。
まあ、現れたら現れたで、咲夜さんがワンパンしてくれるでしょうし。
問題なし!
こうして、僕たちは遺跡の跡地から離れ、アクアさんの見たという街へと向かうことになった。
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アクアさんに着いてくこと数時間…
僕たちは見事に街を見つけた。
見つけた街は、ちょっと発展しているぐらいの町で、石で作られた家が沢山ある。
僕らが町の中に入るとき、見張りの人が話しかけて来たが、魔物じゃないなら基本通してる様子。
町の雰囲気も悪くなく、ちょっぴり人口が少ないこと以外気になる点はない。
まあ、そもそもここの町の広さもそこまででは無い。
むしろ狭い方だと思う。
村みたいな感じしてるし。
この世界の町って、だいたいこんな感じなのかな?
と、言いかけたその時、僕たちの正面から現れた三人を見て言葉を飲み込んだ。
あの人たちは…
聞き覚えのある声と、聞き慣れた雰囲気の会話…
まさか、この三人は…!
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つづく…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!