第29話

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2023/01/23 03:00
恭平side
 
明日から学校が始まる。
 
俺は一度理人を病院に連れて行く計画を立てていた。
 
明日から学校ということもあり、理人はソワソワしている。
 
恭「なぁ、長尾。今日、行きたいとこあるんやけど、ついてきてくれへん?」
 
理「…どこ?」
 
恭「文房具とか見に行きたいねん。長尾も必要なもん揃えに行こう」
 
理「…分かった」
 
第一関門クリア
 
俺たちは準備をして、文房具を買いに行く
 
そして…
 
恭「ああ!お腹が、お腹が痛い!!!」
 
理「大丈夫か?」
 
顔の表情はあまり変わっていないが、少し目が泳いでいる
 
長尾は今、焦っているのだろう
 
恭「痛いッ、いた…い…うう」
 
俺は大げさにしゃがみこむ
 
理「びょ、病院に行こう」
 
恭「そこ…はぁはぁ…曲がったら病院」
 
理「近いな…行くぞ」
 
理人は俺の手を引っ張って病院に向かう。
 
その手には力がこもっていた
 
In病院
 
病院につくと俺は内科に向かおうとする理人の手を引っ張る
 
恭「そっちやない…うう…ッ俺の知ってる先生やないと受けへん!」
 
理「ちょ!!そっちは、ちがうだろ?!」
 
俺は強引に手を引き待合室の前にいる看護師さんに合図を送る
 
看「高橋さーん。お入りくださーい」
 
そして、長尾が何か言いたげなそぶりを見せるが、強引に手を引き入る
 
医者「今日はどうされましたか?」
 
恭「お腹が痛くて…あいたたた」
 
医者「お腹出してください。それでは深呼吸して」
 
恭「はーふー」
 
医者「…これは移る危険もあるかもしれません!!!」
 
理「ッ?!!!」
 
医者「長尾さんも診ておきましょう」
 
理「え?…おれ?」
 
医者「最近の体調はどうですか?」
 
理「…別に…」
 
医者「明日からどこ行くの?」
 
理「教える必要ないだろ」
 
医者「そうだね。最近はよく眠れているみたいだね。よかった」
 
理「…もう、帰る」
 
長尾は気付いたようだ。病院に来た目的が俺ではなく長尾であるということを
 
俺は、医者と念入りに打ち合わせをしていた。
 
恭「まてまて。折角、ここまで来たんやから。な?」
 
理「…話すことなんてない。」
 
医者「今はどこに住んでるの?」
 
理「…」
 
医者「じゃあ、楽しいこととかある?」
 
理「…言わない。」
 
医者「あるんだね。よかった。」
 
理「ッ?!…」
 
医者「明日から学校だよね?もしかしたら、りーくんが出てくるかもしれない。
   環境の変化は精神的にくるからね。
   その時は、ゆっくり落ち着いて深呼吸するんだよ?薬も出しておくね。」
 
理「…ッ………」
 
医者「また、いつでもおいで?」
 
恭「ありがとうございましたー」
 
病室を出た後、理人は俺が話しかけても何も話さない
 
本格的に怒らせたみたいや
 
薬を貰い、病院から出て家まで無言で歩いて帰った

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