In保健室
ガラガラ
恭「失礼しまーす」
理「たかぁし!はなせ!!」
先生「どうした?」
恭「長尾が怪我しました。見てやってください」
理「俺は大丈夫だから」
恭「そう?じゃあ、立ってみ?」
俺が降ろすと、そのまま膝から崩れ落ち座り込んだ
理「ッ………ッ」
恭「ほらな?」
先生「君は…理人君の方かな?」
理「…は、い」
先生「ちょっと体、見てもいい?」
理「…ッ…だ、大丈夫です。こんなの大したことない」
先生「立ち上がれないくらい痛いのは大したことあるよ?」
先生は床に座ってる長尾の服に手を掛けようとする
理「ッ!…ッや!!」
長尾は先生の手を物凄い勢いで振り払い先生はしりもちをついた
先生「ッ………」
理「ッあ……ッう゛」
長尾は一瞬“やってしまった”という表情になった後、頭を押さえ目を閉じた
………
10秒後______
理「………ッふぐ、ッふえ…い、いたい…ッグス…」
恭「?!………りーくん?」
理「ッヒク…たかぁ、しくん?…うぁぁぁぁん」
先生「ッ?!」
理人はりーくんに入れ替わっていた。りーくんは、俺の腕の中に飛び込み泣きじゃくっている
先生も驚きを隠せないようだった
恭「りーくん。身体痛いんか?」
理「ッふえ…ッい、いたいッヒク、の…ずきずきッふえ、する、の…ッグス」
恭「そっかそっか…痛いな?」
俺は体が痛いと訴えるりーくんを落ち着かせるために優しく抱きしめ頭を撫でた
理「たかぁしく、ん…ッふえ…ッヒグ…」
俺の腕の中で少しずつ落ち着いてきた
恭「先生に診てもらおうな?」
理「だ、だれ?」
先生「私は、養護教諭の安田って言います。りーくんの体診ていい?」
理「??えっちするの?」
先生「ッ?!!!」
恭「しないで?この人は、りーくんの痛い体を治してくれる人やで?」
理「…ほんと?」
先生「そうだよ。ちょっと服めくるな?」
りーくんは俺の膝に乗せたまま診てもらう
服をめくると無数の痣ができていた
先生「ちょっと冷やそうね?」
そういって、冷たいシップをりー君の背中やお腹に貼っていく
理「やぁ、たかぁしくん…つ、冷たいのッ」
恭「あともうちょっとやで?」
りーくんは俺のシャツを必死に握っている
先生「はい。できたよ!!頑張ったね!」
理「…ッりーくん頑張った?」
恭「おん。頑張ったな(*^-^*)」
理「ふふ(*^-^*)たかぁしくん大好き!」ぎゅうううう
そして、しばらくするとりーくんは俺の腕の中で寝た
先生「話は聞いていたが、この子がもう一人の人格の“りーくん”か」
恭「はい。最近は出てこなかったんですけど…
たぶん、今日もいろんなことがあったり、気を使ったりで頭が追い付かなくなったんやと」
先生「そっか…
昔の理人君とはまるで違うな」
恭「そうですね。気が強そうに見せてるだけで本当は繊細なんです。
それに、変わりたいって思ってる。」
先生「そっか……
また、変わる可能性はありそうだね」
恭「はい。医者からも環境の変化が大きい時は出やすいって」
先生「いつでもおいで?りーくんが好きなのも用意しておくから(笑)」
恭「ありがとうございます。しばらくここに居てもいいですか?」
先生「もちろん…君も、、、寂しくないね」
恭「…はい」
この先生は俺の全てを知ってる。
俺の闇もすべて…
この先生が居なければ、道枝たちがいなかったら俺もきっと長尾と同じ真っ暗な闇の中で手探りで歩いてたやろう
だからなのか…
こんなにも大事にしたいって思うなんてな
俺は長尾を抱きしめたまま眠りについた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。