第27話

人間
47
2022/03/26 07:46
ここからが、最終決戦の最終決戦だ
瑠偉斗
瑠偉斗
どんなに綺麗事を言ったって
瑠偉斗
瑠偉斗
愛だの正義だの騒いだって
瑠偉斗
瑠偉斗
所詮、大人には敵わないんです
静かな声で、瑠偉斗はそういった
こんなのが僕の父さんだなんて信じられない
柊
ぅるせぇな
柊
それでも報われている亀の恩人がいるんだろ
柊
桃から生まれた男がいるんだろ
誰のことだろう?
柊自身のことなのだろうか
いや、桃から生まれるなんて事あり得ないか
じゃあ誰だ?
瑠偉斗
瑠偉斗
よくそんなこと知ってますね
瑠偉斗
瑠偉斗
でも、そんな人はほんの一握りです
瑠偉斗
瑠偉斗
報われる人なんて精々、五億人に一人ですよ
銀音
銀音
それでもアタシたちはその一人になるために
頑張ってるんだよ!
女子は鎌を振りかざして叫んだ
その顔が怒りに満ちている
"アタシたち"  か
僕は瑠偉斗の両目をキッと睨みつけた
瑠偉斗と目が合うと、瑠偉斗は姿を消した
透明な瑠偉斗
透明な瑠偉斗
……志津香
志津香
志津香
はい
透明な瑠偉斗
透明な瑠偉斗
彼らに言いたいことは?
志津香
志津香
そうですね……
志津香は少し考えると、口を開いた
志津香
志津香
「精々頑張れよ」ですかね
桜
よく言うよ
気がついたら僕の口からは反抗的な言葉が出ていた
志津香は不気味にニヤリと笑うと
両手を合わせてまた同じポーズをした
まずい、また操られる
でも、誰が操られるかわからない
今、反抗的な態度をとったから僕が操られる可能性がある
そう思っていたら、倒れてから動かない実梅が動き出した
実梅
実梅
ゔゔゔぅ………
血だらけだ
死んでしまいたい、と言うような顔をしている
いや、既に死んでいるのか
死んだ人まで操るなんてあのメイドは鬼だ
人間ではない
柊
じゃあ、殺していいんじゃねえの
柊?
僕は柊の方を振り返るが、柊は頭に「?」を浮かべている
柊が発した言葉ではないようだな
その瞬間、僕の頭の中に響いた何かは僕を衝動的に動かした
銀音
銀音
あっ、ちょっ………
彼女の持っている鎌を奪い取ってメイドの方へ走っていく
僕は力に任せて鎌を振るった





グサッ






鈍い音が静かな部屋に響く
志津香の驚いたような顔
あたりに噴き出す赤い血
全てが停まっているように見えた
「あぁ、鎌ってこんなに刺さるんだ」
ふとそう思った













そう思った僕は、異人だ





























………人間ではない

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