蝉の鳴き声が全盛期になる頃、私たちは夏の合宿の真っ最中だった
ただひたすらに練習試合をしている彼らを横目に、私はステージ上にボトルを置いた
コート側に向き直ると、蒸し暑いようなやる気が伝わってくる
などと考えて、ぼーっとしていると、
思わず声がひっくり返ってしまう
自主練?敬語?と疑問に思っていると、語尾にはてなをつけてしまった
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素直に嬉しかった
中学の時と違って、話せる時間が増えた
そんな理想に浸ってるだけ、というのは分かってはいるが、やはりそう思わずにはいられなかった
それくらい、私はけーにいとの時間が好きだったのかもしれない
私は谷地先輩のもとへ走っていった
けーにいが何か言おうとしていたのは頭では分かっていたけれど、それに反応するほどの反射神経は持ち合わせていなかった
私と谷地先輩とその他の学校祭のマネージャーさんたちが昼食の準備を始めた
今日はどうやらカレーらしい
そんなことを考えていると、さっきのことなんていつの間にか忘れてしまっていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。