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第5話

笑顔を絶やさないように。
▽▽




桜の花が満開になり、希望を持った人達が新年度を迎える少し前の3月下旬。










俺は自ら命を絶った__









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▽▽


俺が笑わなく…いや、笑えなくなったのはいつからだっただろうか。


「笑顔が素敵ですね」、「貴方の笑顔を見るとこっちまで元気になっちゃいます」


俺と話すといつも皆はそう言ってくれていたのに。






たちばな、この仕事やってみろ』





俺から笑顔が消えたのはこの部長の一言からだった。
それは俺にとって初めての大きな仕事だったからこの仕事が成功したらもっと良い仕事をもらえる。そう思って喜んで受け持ったんだ。


俺はその仕事を無事に終わらせ、部長や社員から認められる存在になった。



それからは…







『橘、次はこれをやれ』



『橘、これが終わったらこの書類纏めろ』



『橘、今日は帰れないと思え。書類にミスがあった、お前のミスだからな』



『橘!!最近のお前はミスが目立つ!!何をやっているんだ!!』



『おい橘!!』



『橘!!』






部長は俺に全てを任してくるようになった。


部長のミスは俺のミス。


「橘」


自分の苗字を呼ばれるだけで心臓がバクバクするようになった。



そんな毎日を送っていたからか、入社した時から"素敵な笑顔"と言われていた俺から笑顔がなくなっていった。







いや…







笑い方がわからなくなったんだ。



毎日残業、残業代はもちろんない。
クマができれば接待の時の印象が悪いと言われ、体調が悪い時は自分の管理が甘いと言われた。





笑満
ふぅ…


「笑満…お前最近大丈夫か?俺ができること手伝うからな」


笑満
いえ、大丈夫ですよ。先輩には奥さんがいるんですから、早く帰ってあげないと


「ごめんな…いつもありがとう…妻も早く帰ってくるから安心してる。…それより、この部署に新人が入ってくるそうだ」
笑満
え?…新人ですか…


新人社員…1番に"可哀想"と思ってしまった。


俺と同じことをさせられるのだろうか…。


そんなの…ダメだ。俺が教えてあげないと…。


俺が…新人に教えないと…






ここに来ちゃだめだって__


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▽▽
笑満
はぁ…


静かな部屋でため息をつく。



いつでも辞めることができるように相談する時の証拠として集めていた書類達は、仕事が忙しいから相談所に持って行くことができない。



笑満
…疲れた……



夜中の23:30分、ベッドへダイブする。








プルルルッ__プルルルッ__





笑満
っ!


あぁ…部長だ…また…また怒られる…。
こんな時間に電話してくるなんて初めてだ。


(怖い…)


深呼吸をし、震える手で電話を手に取る。
笑満
は…い…橘です…


『お前やってくれたな!!俺が頼んでおいた仕事今日までが期限だったんだよ!!おかげて取引先に取引を中断された!!どうしてくれる!!!!明日覚えておけ!!!!』





え…?





うそ…だろ。


そんな…言いがかりだ。それは確かに部長の仕事だったはず。


明日俺はまた皆の前で怒られるのか…。











笑満
もうダメだ…


そう思ってからの行動は早かった。


イス…縄…遺書…。


何も考えずに用意をした。









(ごめんな…新人、俺が来たらダメって教えられなくて。…疲れて…もうダメなんだ…)








ゆっくりと椅子の上に乗る。







(部長なんて…部長なんて…)










笑満
大嫌いだ




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▽▽



幸掴
あぁ…土日なのになんで仕事なんですかぁ…


「まぁ…ブラックだから仕方ないぞ〜」


書類倉庫から過去のデータを集めながら先輩と話す。


その中で埃を被った一つの段ボールを見つけた。


幸掴
ん…?
幸掴
先輩、このファイルとかなんです…かぁっ!?



バタンッ!!



段ボールに詰めてあった箱を取ろうとした途端バランスを崩しそのまま段ボールと一緒に倒れてしまった。



「大丈夫か!?」


幸掴
いてて…なんとか大丈夫です…って…!これ!俺たちが探してたやつじゃないですか!?…凄い…こんなに丁寧に書類が纏められてる…!!

段ボールの中のファイルには俺たちが探していた過去の書類が丁寧に挟まれていた。
重要な場所は蛍光ペンでマークされていて、このファイルを持っていた人は真面目だったということがすぐに分かる。



「っ!…あぁ、これは…やっぱりあいつは凄かったんだな」


幸掴
え?あいつって…?



「そうか…陸は知らないのか。…その書類を作ったのは橘 笑満って言う俺の1つ下の後輩でな…いつも笑って明るい奴だったよ…妻を心配させたらダメだって俺のこと早く帰らせて俺の仕事やってくれたりしてた…」

幸掴
橘 笑満…


笑満ってまさかそんなこと…


幸掴
っ!その、橘さんは…今はどこにいるんですか…?




「あいつは…陸が来る2週間前に自ら命を絶って亡くなったよ」




幸掴
え…?



そんな…俺が入社した時にそんな話題は出なかったのに…。


橘 笑満。まさか笑満がここで働いていたなんて…。


この会社は…笑満のことがバレないように隠したのか…?


こんなに苛立つのは初めてだ…




笑満の為にも…絶対辞めてやる__