第6話

今笑えてるならいいじゃない。
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2020/05/13 12:55


ガチャ__



休みの日の残業を終え、家のドアを開ける。




幸掴
ただいま…


笑満が俺の先輩だったとは…。
きっとあの会社は社員が亡くなったとニュースになったら面倒だから、笑満のことを隠したのだろう。


笑満
あ…おかえり…
幸掴
おう…


なんて話せば良いのだろうか。


何か話題を出さないとと思っても思いつくことがない。


笑満
…幸掴の会社で俺働いてたんだ〜
幸掴
っ!


先に話しかけてきたのは笑満だった。


フワッと浮かび、窓の外を見ながら話しかけてくる。


笑満
今日ね?幸掴の社員証見て幸掴と同じ会社で働いてたってこと初めてわかったの
笑満
時期的に…幸掴が新しく来る新入社員だったんだね…ごめん、ブラックだってこと教えられなくて…
幸掴
いや、実は俺も今日先輩から聞いたんだよな…知らなかったからびっくりしたけど…
幸掴
俺は大丈夫!今笑満は俺が会社辞めるために色々してくれてるだろ?それにさ!
幸掴
今笑えてるんだから!!今の人生?うーん…人生じゃねぇな…。…霊生?を楽しもうぜ!!俺笑満の笑顔好きだし!!
笑満
っ…幸掴…


先輩から話を聞く限り笑満は本当に辛い毎日を送っていたのだろう。
でも今は俺のために色々教えてくれたり協力してくれている。
もし幸掴が生きていて俺の先輩として働いていたらどんな顔をしていたのだろうか。
先輩は「笑わなくなった」と言っていたけれど…。


笑満が笑うとこっちまで元気になる。
笑満の笑顔は素敵なのに。


そんな笑満から笑顔をなくした会社は許せない。


笑満
幸掴、ありがとう!これからも一緒に頑張ろうね!
幸掴
おう!支えてくれてる人がいるって思うと俺も安心できるからな!






グゥーッ…









感動的な話をしている時に鳴り響く俺の腹。




幸掴
だぁぁぁっ!!なんでこんな時にお腹がなるんだよぉぉぉ!恥ずかしい!!
幸掴
お腹空いたぁぁぁ!
笑満
あははっ!幸掴は見ていて面白いなぁ。ご飯できてるから食べよう


楽しそうに笑顔になる絵満。


うん、やっぱり笑満の笑ってる顔は素敵だ__



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▽▽

笑満
じゃあ今日あった少し幸せなことを教えて下さい〜


ご飯を食べ終わった後は、今日あったことを話す時間にしている。


笑満曰く、幸せだなって思うことがあるだけでも気持ちが明るくなるとのこと。


幸掴
今日は色々あるぞ!
幸掴
いつも部長に無理矢理連れて行かれる居酒屋で働いてる可愛い店員さんと帰りに出会っておつかれさまですって言われた!
幸掴
あと明日楽しみに待ってた本が届くから楽しみ!
笑満
へぇ〜、良かったじゃん!おつかれさまって言われただけでも疲れて吹っ飛ぶよね〜
幸掴
俺あの子が頑張ってる姿見るの好きだからさ…嬉しかった


実は俺はその女性に恋をしている。


年齢的には俺が少し年上なのだろうが、居酒屋に行くと頑張って働いている姿がキラキラしていて好きなのだ。


俺とは違い楽しそうに仕事をしている姿に惚れたのかもしれない。


笑満
今の会社辞めていい会社に転職できたらその女性共沢山お話し出来るかもね〜?
幸掴
っ!そうだよな!話せる機会増えるよな…!
笑満
きっと増えるよ!その為にも証拠集め、頑張らないとだぞ!
幸掴
あぁ!


コツコツ会社の証拠を集め、俺は幸せを掴む為に毎日頑張っていた。
笑満も応援してくれて、家でできることは協力してくれる。
誰かの支えがあるからこそ人は頑張って過ごすことができるということをとても実感する毎日。





そして…





笑満と出会ってから3ヶ月…





充分証拠も集まった。






笑満
証拠持った?
幸掴
大丈夫!カバンに入れた!
笑満
じゃあ…ちゃんと辛かったこと相談しておいで。待ってるから
幸掴
おう!行ってくる!
笑満
行ってらっしゃい!



労基署へ相談しに行く日だが来た。
俺がブラック会社を辞める日まであと少し__

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