ガチャ__
休みの日の残業を終え、家のドアを開ける。
笑満が俺の先輩だったとは…。
きっとあの会社は社員が亡くなったとニュースになったら面倒だから、笑満のことを隠したのだろう。
なんて話せば良いのだろうか。
何か話題を出さないとと思っても思いつくことがない。
先に話しかけてきたのは笑満だった。
フワッと浮かび、窓の外を見ながら話しかけてくる。
先輩から話を聞く限り笑満は本当に辛い毎日を送っていたのだろう。
でも今は俺のために色々教えてくれたり協力してくれている。
もし幸掴が生きていて俺の先輩として働いていたらどんな顔をしていたのだろうか。
先輩は「笑わなくなった」と言っていたけれど…。
笑満が笑うとこっちまで元気になる。
笑満の笑顔は素敵なのに。
そんな笑満から笑顔をなくした会社は許せない。
グゥーッ…
感動的な話をしている時に鳴り響く俺の腹。
楽しそうに笑顔になる絵満。
うん、やっぱり笑満の笑ってる顔は素敵だ__
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▽▽
ご飯を食べ終わった後は、今日あったことを話す時間にしている。
笑満曰く、幸せだなって思うことがあるだけでも気持ちが明るくなるとのこと。
実は俺はその女性に恋をしている。
年齢的には俺が少し年上なのだろうが、居酒屋に行くと頑張って働いている姿がキラキラしていて好きなのだ。
俺とは違い楽しそうに仕事をしている姿に惚れたのかもしれない。
コツコツ会社の証拠を集め、俺は幸せを掴む為に毎日頑張っていた。
笑満も応援してくれて、家でできることは協力してくれる。
誰かの支えがあるからこそ人は頑張って過ごすことができるということをとても実感する毎日。
そして…
笑満と出会ってから3ヶ月…
充分証拠も集まった。
労基署へ相談しに行く日だが来た。
俺がブラック会社を辞める日まであと少し__
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。