何人かを飛ばしていよいよ僕の番.
「京本大我くん!」
『…はい』
「ちょっと声小さいわよ?」
『ごめんなさい、』
「京本大我くん!!」
『はい』
何だこの先生、しつこいなぁ.
まぁそういう情熱的な指導でこれからもやって行くのか…
そう思うと憂鬱だった.
窓の横の席ということもありさっそくこの席の特権であろう外を眺める行為をする.
〜桜小学校〜
という名前の通り校庭の端に生えている桜が今の時期は満開になり美しい.
僕はこの桜がいちばん綺麗に見える場所を知っている.
香りがすんなりと鼻に入ってきてピンクに輝く花びらがなんとも愛おしいのだ.
ま、慎太郎とジェシーには分からないだろうけど…
ジェシーというのは慎太郎と僕と常に一緒に遊んでいるハーフの男の子のこと.
明るくて慎太郎と一緒に漫画やアニメの話をしたり、ふざけたりしている.
いわゆるお調子者ってやつ.
だからいつも巻き込まれてしまう.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!