なんだろう、と思った瞬間目の前にはバイクが置かれていた.
「ジャーン!」
『…っえ、バイク?』
そこにはピカピカの漆黒色をした車体があった.
松村くんは大きく頷き、免許とったんだと言った.
『でもバスケ部やってるんだよね?』
「あー、仮病使ってサボりまくった」
なにやってるのと軽く松村くんの背中を叩く.
「てことで一緒に乗ろ?」
『え?!二人乗り?』
「おう、こういう時は京本だろ。」
『なにいって……』
「いいからほら、乗った乗った!」
松村くんは悪い笑みを浮かべてすぐに僕の脇に手を置いた.
『ひやっ、』
軽々しく持ち上げられバイクの後ろに乗せられる僕の心臓は今にも爆発しそうに高なったままだ.
『ねぇ、どこ行くの?』
「秘密。」
なんでよ、と心の中で言いつつもこんなサプライズってありなのかよと思い嬉しくなる.
出発するためにエンジンをかける松村くんは
もう一人前の男の人だった.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!