僕はいいと断った.
みんなで25メートルプールに行くらしい.
けどそんなのごめんだ、僕は泳げないから.
一人でプールの脇を歩くだけ、まぁいいや.
「京本、おしえよっか?」
松村くんが目の前に現れた.
『ふぇ、いいの?』
「もちろん!1人じゃあれでしょ」
『ありがとう、』
嬉しい、でも鼓動がたかなってうるさい.
「まずは手ぇ貸してみ?」
「そう、それで力を抜く。」
あれ、自然と泳げた?
「なんだ、筋いいじゃん。」
松村くんに褒められるとまたこれは嬉しい.
ふとプールサイドに目をやるとピンクのフリルがついた水着を着た女の子が目に入る.
同じくらいの歳だが少し大人っぽく見えた.
「京本のタイプか?」
松村くんにそう聞かれたがぶんぶんと首を振り違うと否定する.
「なんだ、そうだと思ったのにぃ」
違うよ松村くん、僕は…君が好きなんだ.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。