第5話

「夢」と「幻」
30
2018/11/07 14:17
エスト
エスト
周りに惑わされないように…
集中を持続させる…!
気持ちを落ち着かせようとするエストロニア。

何が始まるのかは、よく分かっていないらしい。
楓
じゃあ、まずはこれからだ!
楓が指を鳴らすと、エストロニアの
近くで風が強く吹き始めた。


楓の「教育」は、ここから始まる。
エスト
エスト
まだまだ…!
楓
流石だね…これなら!
休む暇もなく、楓は思いきり手を振り上げた。
エスト
エスト
っ…!
エストロニアの表情に
少し焦りと動揺が見える。

「楓は一体、何をしているのか?」
その考えが、エストロニアの
集中を少しずつ遮っている。
エスト
エスト
…これって…!
集中を持続していたはずの
エストロニアの目の前には、
自分では想像していないはずの
世界が広がっていたのである。


これが、「夢月家」である楓の能力で、
これこそが、本当の夢月家の力なんだと、
エストロニアは悟った。
楓
…あ、やっぱりダメか…
未玖
未玖
(うん….この力、前と変わってない…)
エスト
エスト
でも、まだ超えれる…!
あたしは…御子なんだ…っ!
振りほどくようにして、
エストロニアは目の前の景色を払おうとする。

「時を司る御子」である想いが、
エストロニアを突き動かしている。
楓
うん、凄いね…想像以上だ!
エスト
エスト
ふぅ…疲れたぁ…!
目の前の景色が元通りになって、
楓とエストロニアが再び相見える。
未玖
未玖
エストロニア♪
さっきの「抗い」、凄かったよ〜?
エスト
エスト
あ、ありがとー!
自分が御子なんだ…って考えると、
突然力が湧いてくるの。
まだ、よく分からないけどね…
楓
正直驚いたよ、エストロニア。
これなら大丈夫そうだね…
君との別の「強さ」を
持つ人との連絡はもうついてる。
何処まで戦えるか…見せてもらうよ。
エスト
エスト
…もちろん!頑張ってみる!
エストロニアのもう一つの「教育」が、
そろそろ幕を開けようとしている。


この「教育」を通して、
エストロニアは大きな成長をする。


それを分かっていたのは、
エストロニアでも未玖でもなく、
それを持ちかけた楓自身だけだった。




ただ一人、楓だけが、「時を司る御子」の
覚醒を予言していたのである。

プリ小説オーディオドラマ