今までの経過を考えると、
既に1時間は経っているだろう。
持久や、戦闘力には差が見られないとも言える。
どちらが優勢か分からないまま、
同時に攻撃を仕掛けようとする。
エストロニアは攻撃を仕掛けていなかった。
反撃を合わせるために、
あえて攻撃のタイミングを外していたのだ。
更に、紅炎が攻撃を仕掛けた腕は
エストロニアの札により拘束されている。
普通なら勝ち誇ってもおかしくない局面だが、
エストロニアは動じる様子がない。
「紅炎の攻撃の素早さを利用した」という
ただ「それだけ」では
紅炎に勝ったとは言えないからだ。
動じる様子を見せなかったエストロニア。
しかし、状況は一変し体勢を崩す。
紅炎の腕の拘束も、ほぼ同じ
タイミングで解除されてしまった。
抵抗する気力をなくしたエストロニア。
そして、攻撃を再び仕掛けようとする紅炎。
果たして、エストロニアはどうなるのか?
しかし、この時未玖は確信する。
楓は、元から既に予測していた。
「時を司る御子」の、更なる昂り。
エストロニアの、新たなる覚醒。
未玖と楓は、ここでそれを確信するのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。