第11話

御子の昂り
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2018/12/28 14:09
紅炎
紅炎
これで、終わりだぁっ!
攻撃を仕掛けようとする紅炎。

先ほどとは一転し、エストロニアは
追い詰められている。
エスト
エスト
っ…!
何も出来ない悔しさだけが込み上げてくる。
エスト
エスト
どんな時でも、神を支えるのが御子。
だからあたしは戦うの…
神の為に、戦い続けるんだよ?
負けると分かってても、
御子は勝つしかないんだよ。
痛みを必死に堪えながら、
誓いを立てるエストロニア。

その誓いを何よりも気にしていたのは未玖だった。
未玖
未玖
(流石は御子♪その想い、
しっかり伝わってくるよ…
さあ、昂りを見せて!)
紅炎
紅炎
へぇ…まだ余力があるってのか?
なら来い!私に見せてみろよ!
エスト
エスト
っ…まだだっ!
紅炎に接近するが、動きとしては普段より鈍い。

今のエストロニアにはそれしかできなかった。
紅炎
紅炎
甘いぜ、エストロニア。
アンタはそんなもんじゃねぇだろ?
「それは違う」と言わんばかりだ。

紅炎はエストロニアの攻撃を容易に振り払い、
強い一撃で弾き飛ばした。
エスト
エスト
はぁっ…はぁっ…!
紅炎
紅炎
…もういいだろ、エストロニア。
今のアンタじゃ、私には勝てないぜ?
エスト
エスト
だけど、あたしは戦うよ!
御子は…神を支える存在だから!
こんな所で、あたしは負けられないの!
だから…あたしは!

あたしは…っ!


貴方を、超えてみせるんだぁっ!!
攻撃には耐えているが、
気力としては限界だった。

しかし、エストロニアが
倒れる素振りを見せることはなかった。
「時を司る御子」として、立ち向かうために。

「神を支える御子」として、戦うために。


エストロニアは紅炎を見て、必死に叫ぶ。
紅炎
紅炎
なっ…!?
神である未玖を支えると決意する、
エストロニアの力強く、熱い誓い。

それが、エストロニアに新たなる力をもたらした。

未玖
未玖
そう、エストロニア。それでいいの。
御子の昂り…それは覚醒を意味する。
御子が遂に目覚めたって感じかな?
楓
未玖…君が後継者って
言うだけの事はあるね。
やっぱり、僕の予想通りだったよ。
未玖
未玖
でっしょ〜?うちは、昔から
エストロニアを見ているの。
元々「時を司る者」から成長している。
そして、今は御子にまで上り詰めた。
強さの先なんて、まだまだだよ♪
成長を予感していた未玖と楓。
二人は、エストロニアを見ながら確信する。


「時を司る御子」は覚醒した。

エストロニアは、神を支える御子として、
更なる成長を遂げたのである。
エスト
エスト
なんだろう、この力…!
身体が、こんなに高揚してるなんて…!
身体が熱い。全身が力で満たされる。
前を見据えるのも、今までとは違う。
紅炎
紅炎
やっべぇな、こりゃ…!
さっきより気力が跳ね上がってやがる…
「火焔解放」で、何とかなんのか…?
御子の覚醒を目の当たりにして、紅炎は動揺する。
エスト
エスト
私は、「時を司る御子」の
ツキヨミ・エストロニア!
神を支える御子として…
貴方を倒しに参ります!
紅炎
紅炎
私は如月紅炎!夢月楓の戦友にして、
「火焔」を扱う者だ!
私を倒すんなら、
その力を見せてみろよ!
お互い、自分自身の士気を
高めた所で再び対峙する。

二人の戦いの終焉は、すぐそこまで来ていた。

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