攻撃を仕掛けようとする紅炎。
先ほどとは一転し、エストロニアは
追い詰められている。
何も出来ない悔しさだけが込み上げてくる。
痛みを必死に堪えながら、
誓いを立てるエストロニア。
その誓いを何よりも気にしていたのは未玖だった。
紅炎に接近するが、動きとしては普段より鈍い。
今のエストロニアにはそれしかできなかった。
「それは違う」と言わんばかりだ。
紅炎はエストロニアの攻撃を容易に振り払い、
強い一撃で弾き飛ばした。
攻撃には耐えているが、
気力としては限界だった。
しかし、エストロニアが
倒れる素振りを見せることはなかった。
「時を司る御子」として、立ち向かうために。
「神を支える御子」として、戦うために。
エストロニアは紅炎を見て、必死に叫ぶ。
神である未玖を支えると決意する、
エストロニアの力強く、熱い誓い。
それが、エストロニアに新たなる力をもたらした。
成長を予感していた未玖と楓。
二人は、エストロニアを見ながら確信する。
「時を司る御子」は覚醒した。
エストロニアは、神を支える御子として、
更なる成長を遂げたのである。
身体が熱い。全身が力で満たされる。
前を見据えるのも、今までとは違う。
御子の覚醒を目の当たりにして、紅炎は動揺する。
お互い、自分自身の士気を
高めた所で再び対峙する。
二人の戦いの終焉は、すぐそこまで来ていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。