第9話

気持ちの一致
11
2018/11/27 13:28
紅炎
紅炎
んじゃ、行ってみるか…
第2ラウンド!
エスト
エスト
来いっ!
お互いを睨み合うような形で、
お互いがそれぞれ攻撃を仕掛ける。
今の一撃は、相打ちに等しい。
未玖
未玖
(うん…この2人、熱くなってるね♪)
楓
(流石だね、エストロニア…)
そのまま譲り合う様子もなく、
互角の衝突を続ける二人。


しかしここで、紅炎が攻撃に転じた。
紅炎
紅炎
おらぁっ!
エスト
エスト
まだまだ!全然軽いよっ!!
紅炎自身が、一番自信のある形でもある
「速撃」と「派生」を生かした連撃。


しかし、それに臆することなく、
エストロニアは紅炎の攻撃を弾く。
そして、すぐさま前を見据える。
エストロニアの意思は、
「紅炎と戦う」という事に一途であった。
未玖
未玖
いい成長の「兆し」かな…♪
ずっと、待ってるからね…
未玖は、エストロニアからいつにも増して
強気な姿勢が表に出ているのを感じた。

未玖からしたら、嬉しい成長なのかもしれない。
紅炎
紅炎
っと…それも防ぐか!
エスト
エスト
それが、「時を司る御子」の力なのか…
と、貴方は言う。
紅炎
紅炎
…ああ、まさにその通りだ。
でも、これは予測出来ねーだろ?
突如として、紅炎から「気」が発せられた。


その気が通常ではないことも、
エストロニアはすぐ理解出来た。
エスト
エスト
なに…?この熱さは…!
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『「火焔解放」についての解説』
紅炎
紅炎
「火焔解放」の解説か?
なら、当然私がするっきゃねーな!
私は如月紅炎ってんだ。
ま、これからもよろしく頼むぜ!
紅炎
紅炎
まず、「火焔解放」ってのは
私が元々から持ってた能力なんだ。
それではあったが、昔から
備わっていたせいで、
私は「火焔解放」がどんな能力なのかを
知る機会がなかった。
だから、楓にはあえて黙ってたんだ。
紅炎
紅炎
まず、「火焔解放」の効力としては、
他人からは見えない形で
「火」と「炎」、そして「焔」を
扱えるのが大きな特徴だ。
これの最上級として
存在するのが「焔」ってとこだな。
紅炎
紅炎
「火焔解放」を発揮していなくても、
私は炎を直接扱ったりはできる。
けど、その三つを自在に操る事を
可能にするのが「火焔解放」なんだ。
紅炎
紅炎
炎等を具現化して身に纏ったり、
剣に変化させたりも出来るんだぜ?
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紅炎
紅炎
これが「火焔解放」の特徴って事だ。
他人からは見る事の出来ない所でも…
炎等を操れるんだよ!
エスト
エスト
くっ…!この圧力、見た事ない…!


紅炎から発せられた気は、
ただひたすらに「燃えていた」。



エストロニアは隙を伺おうとするが、
この感じたことのない熱さもあってか、
何かをする余裕はなかった。
紅炎
紅炎
火傷しても…知らねーからなっ!!
「燃えるような熱さ」を身に纏った紅炎は、
自分を奮い立たせるかのように、
真っ向勝負に出ていった。
エスト
エスト
紅炎さん、貴方は凄い。
でも、一つだけ言うよ?
貴方がどうなったって…
あたしは逃げないから!
今、ここで逃げるわけにはいかないの!

「大切な人を守る事」
「御子として、神に仕える事」

それが、あたしの願いなんだから。
紅炎
紅炎
それが、アンタの目的なんだな。
実にいい目的だ。
「月詠未玖を支えたい」って姿勢、
すっげー評価できるぜ。
けどな、それを果たすのなら…
私を超えてみせることだ!
エスト
エスト
もちろんそのつもりだよ…!
あたしは、あたしとは違う「強さ」を
体感する為に、貴方と戦っているから…
貴方も、そう思ってるんでしょ?
紅炎
紅炎
どうやら…お互い、同じみたいだな…!
こうなったら…
お互いに満足するまでやり合うか!
エスト
エスト
だね…!それ、乗った!
二人の目的で唯一、一致している事。

自分とは異なる、「強さ」を体感する事。




二人の勝負は、まだ始まったばかりだ。

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