「 あなたちゃん、! 」
花崎「 …あ、」
俺が駆け寄ると小さくペコっと会釈してくれる
俺は隣に腰かけて
「 …それで、何があったか聞かせてもらってもいい? 」
するとあなたちゃんは、
ゆっくりと話し始めた。
花崎「 今日、龍我くんの誕生日だったじゃないですか 」
「 うん 」
花崎「 それで______、」
__回想
あれから数日後、私はプレゼントを持って龍我くんと待ち合わせた。
佐藤「 ごめん、遅くなって、! 」
「 ううん、大丈夫 」
息を整えながらニコッと笑う龍我くんに、プレゼントを差し出した。
「 はいこれ、…お誕生日おめでとう 」
佐藤「 …わっ、え? これ俺に? 」
「 うん、龍我くんに。」
佐藤「 めっちゃ嬉しい…! ありがとう 」
嬉しそうに笑う龍我くんを見ると、
胸がキュウっと締め付けられていく 。
苦しい、けど、龍我くんの笑顔が見れて嬉しい。
…好きだ。どうしようもなく。
そんな想いが込み上げてきて、
「 …好きだよ、龍我くん 」
少し上の方にある彼の顔を見上げると、
驚いたようにあたふたする龍我くんがいて。
佐藤「 えっ、…お、俺も… 」
「 だから、もう会うのやめよう? 」
〝俺も好きだ。〟 そんな事聞きたくない。
胸が苦しくなって、色んな感情が溢れてしまうから
佐藤「 …どうして、? 」
「 龍我くんには龍我くんの立場がある。
…これ以上一緒にいたら私、もっと龍我くんの事好きになっちゃう。」
もっと好きになったら、これ以上は止められない気がするから。
…好きになっちゃいけない人を好きになってしまった。
…いや、ずっと好きだった人は、
いつの間にか好きになっちゃいけない人になってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!