時は過ぎ、私の学校は体育大会に向けての準備が始まった。
私と美穂ちゃんと祐太君は、体育大会実行委員で放課後も忙しい。
今は、保管庫のハチマキを取りに行っている。
保管庫のドアを開けると、中はぐちゃぐちゃになっていた。
目的のハチマキは、一番奥。
保管庫の中は、とても暗くなっていた。
スマホのライトを使っても、周りがよく見えず、やっぱり待っていれば良かったかなって思ったが、これも仕事だと言い聞かせ、前に進んだ。
でも、運の悪いことに私の足元にある何かに引っかかってしまって、頭を近くの柱にぶつけそうになった。
私はとっさに目をつぶったが、いつまで経っても私の頭はぶつかることはなかった。
目を開けると私の目の前にあるのは、祐太君の胸板だった。
やばい、めっちゃドキドキしちゃった・・・
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!