とても元気のいい声が、家の隅々まで響き渡る。
少し髪が乱れていることから、
大急ぎでここまで来たんだろうなと思った。
頬を赤らめながら、美香は急いで洗面所へ向かった。
「リビングで待ってるね」と言って、
僕はリビングに戻り、
テレビをつけてソファーに座る。
テレビではニュースが流れており、
空き巣、殺人、強盗など、
物騒な単語が並べられている。
僕の用意したおにぎりを食べながら、
美香は遠慮なく僕の隣に座る。
突然大声を出した美香に、僕は思わず少し仰け反る。
こんなに驚くってことは無意識だったのか。
まだ少し寝ぼけていたんだろうなと、
勝手に納得する。
顔を真っ赤にして否定する美香を見て、
僕は不覚にも、可愛いと思ってしまった。
少し冷静さを取り戻したのか、スー、ハー、と
深呼吸を繰り返す。
10秒ほど経って、「忘れてね!」と元気よく、
けれども華やかさを残したまま怒鳴る美香に
驚きながらも、内心で可愛いなと思い、
テレビに目を戻す。
すると、先程のニュース番組は終わっており、
いつもより30分以上も早い朝のドラマが
流れていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。