第15話

15話
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2021/05/22 02:15
目覚まし時計の音が、狭い空間に鳴り響く。

うるさいなぁ。と思いながら、僕は雑音を消す。

今日は憂鬱な気分だ。

学校に行きたくない。

ふと、昨日のことが頭をよぎった。

今でも、美香から向けられた視線を思い出せる。

心配と呆れの混ざった視線。

ああ、憂鬱だ。

今日は学校を休もう。

そう決めて、僕は自分の世界にのめり込む。





私は美香。

今日は平日で学校なのだが、ルイが来ていない。

ふと、昨日のことが頭によぎる。

ルイが、私から逃げるように、
避けるように歩き去っていった。

嫌われちゃったのかな。

思い返してみれば、
ルイとは最近すれ違ってばかりだ。

以前はこんなこと、滅多になかった。

何が悪かったんだろう。

何が原因なんだろう。

…そうだ。

こうなったのは私のせいだ。

私が余計なことをして、
ルイに雑念を生ませてしまった。

なんだ、結局私が悪いのか。

もう、私なんて必要ないのかもな…。





夕日に照らされ、僕は自分の世界から戻ってきた。

時計の針は真っ直ぐ重なって上を指している。

…あれ?おかしくないか?

夕日に起こされたはずなのに、なんで12時なんだ?

疑念を持ったので、スマホを開いて時間を確認する。

そこには17時24分と表示されている。

くそっ、ついに目覚まし時計も壊れたか。

まあ、2年ほど使っていたものだからしょうがない。

気に入ってたんだけどなぁ。

そんなことを考えながら、僕は布団から出る。

今日は朝から何も食べていないので、
お腹が空いてしょうがない。

キッチンに向かい、冷蔵庫を開けたが、
中身は空っぽ。

買い出しに行くのは面倒くさいが、仕方がない。

僕は家を出て、近くのスーパーへ自転車を走らせる。

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