第9話

9話
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2021/04/04 22:45
翌日、僕は家でニュース番組を見ていた。

本当なら学校だったが、昨日の事件のことで
休校になったのだ。

明日は土曜日なので、実質三連休。

ニュースでは昨日の事件が大々的に
報道されているわけでも無く、
なんてことないただの通り魔による
殺人とされている。

録画していたドラマでも見ようと思い、
テレビをビデオモードに切り替えると、
僕のスマホに着信が来た。美香からだ。

『改めて、昨日はありがとう。
 でも危険なことにはもう首を突っ込まないでよ?
 それで、お礼というかなんというか、
 明日2人でお出かけしない?
 もちろん、嫌ならいいんだよ?
 でも、なんていうか…お礼もしたいから
 オッケーしてくれると嬉しい。
 断ってもいいからね!』
ルイ
お出かけか…
明日は特に用事もないので断る理由はないが、
昨日の今日なので少し不安な気持ちになる。

どうしようかと悩んだが、美香のことも
心配なので行くことにした。

それにしても、僕のせいで
危険な目に遭ったのにお礼か。

相変わらず、人を責めることを
知らないんだなと思う。

美香にお出かけに行こうという旨のメールを送り、
僕は録画していたドラマを再生した。
土曜日の午前10時。僕は美香の家に向かっていた。

理由はもちろん、美香を迎えに行く為だ。

お出かけといっても、
どこに行くのかは聞かされていない。

昨日美香に聞いたところ、
『明日のお楽しみ』だそうだ。

しばらく歩くと、美香の家に着いた。

インターホンを鳴らすとすぐに出迎えてくれる。

しかし、
美香(みか)
ちょっと待ってね。
そう言って、すぐに家の中に戻ってしまった。

2分ほど経つと、美香はお洒落なワンピースを着て
飛び出してきた。

とても似合っているが、
なんだか直接いうのは気恥ずかしい。

なので、「どこに行くの?」と聞いたが、
何故か頬を膨らませて拗ねてしまった。
ルイ
どうしたの?
美香(みか)
…知らないっ。
困ったなぁ。

女の子が拗ねるとかなりめんどくさいということを
散々味わってきたので、すぐにでも
美香のご機嫌を取りたいが、
生憎と、僕にはどうすればいいかわからない。

苦し紛れに、少し照れながら
「その服似合ってるよ」と言うと、
次は真っ赤になって家に戻ってしまった。

やっぱり、僕には女心がわからないと再確認した。
美香(みか)
…いこっ。
家から出てズンズンと進む美香に、
僕はさらに困惑されられるのだった。

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