第4話

家政婦の茉由子さん
421
2021/02/11 13:45
手を洗い、汚れた服を脱いで洗濯に出す。

足元の台に見覚えのない服が畳んであって、手に取って広げると。
あなた

.......可愛すぎ

自分では選ばないような部屋着で、少し困惑する。

もこもこで冬用のダボッとしたものなんだけど、

パステルカラーな上、フードに猫耳が付いている。
あなた

.......嫌だけど.......

着たくないが、1度脱いだ服をまた着て部屋まで行くのは面倒くさい。
あなた

黒歴史だあぁぁぁあ.......泣

***
藤岡 茉由子
あ、着てくれたの?嬉しい(*´˘`*)♡
僕の姿を見て嬉しそうにする茉由子さん。
あなた

.......やっぱり茉由子さんだったか

まぁ逆に、僕の服を用意する人なんて茉由子さんしか居ないから選択肢なんて最初から1つなんだけどね。

両親は病院で忙しいから僕が何着ていようと気にしないと思うし、

双子の兄だって僕のそういう部分には無頓着だ。

で僕は女子っぽい服装とか興味無いし、

スカートとか動きにくいものは嫌いだから

基本背丈の同じ兄の服を着ることが多い。

僕の服に気を遣うのなんて茉由子さんぐらいだ。
藤岡 茉由子
だってあなたちゃん可愛いんだもの〜
普段のシンプルな服装も似合ってるし動きやすいってのは分かるけど、たまには可愛いもの着てほしいし.......
そう俯きながら話す茉由子さんに冷めた視線を送る。

男ならこんな仕草にイチコロなのかもだけど、残念ながら僕は同性なので全く心が動かない。
藤岡 茉由子
ほ、ほら!今回色はちょっと明るめだけど、ズボンだし特に装飾無いし家で過ごす分にはちょうどいいんじゃない?
冷たい目で見ていたけど、その茉由子さんの言葉に.......


残念ながら納得してしまった僕は、目を逸らして食卓についた。

スマホを取り出して任務の報告書を打っていると、「そういえば」と茉由子さんがまた口を開く。
あなた

なーに?

藤岡 茉由子
今日は学校どうする?
その言葉に思わず顔を上げると、茉由子さんは何も無かったかのように朝食を作っていた。
あなた

..............

そういうところが年の功っていうか、、、

普段割と同じテンションで騒ぐくせに、ふとした時に気を遣えるの、
あなた

ずるい

藤岡 茉由子
え?
あなた

..............

年上の余裕.......。

茉由子さんがそのつもり無くても、悔しい。

でもそれに救われてるのも事実。
藤岡 茉由子
あなたちゃん?どしたの?
朝食を手に、様子を見に来た茉由子さんに僕は。
あなた

なんでもない。お昼行けそうだったら行こうかなぁ。

ヘラりと笑って返した。

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