あなたの彼氏です
あなたが入院してから3日がたった
3日たってもまだ起きる気配はない
お医者さんも少し難しい顔をしていた
はよあなたの可愛ええ声聞きたい…
コンコン
あなたの1番の友達のミミちゃんが来てくれた
ちゃんと花にメッセージカードがあるところとか
あなたらしいブーケになってるところとかで
2人のいい関係を想像できる
急に言われて変な声が出た
ミミちゃんは俺の反対側に座ってあなたの手を握る
そしてあなたの顔を見つめながら話し始めた
あなたがそんなに俺のこと話してくれたとは思ってもなかった
嬉しくて、でも自己嫌悪にもなったりして…
感情がぐちゃぐちゃで泣きそうになった時
ミミちゃんの携帯の画面が目に写った
そこにはあなたとミミちゃんのトーク履歴があった
[♔︎あなた♔︎]ねえちょっと無理だ
[*mimi*]何が?
[♔︎あなた♔︎]廉くん
[*mimi*]あー
[♔︎あなた♔︎]呼び捨てだよ?やばくない?無理やって
[*mimi*]ついに呼び捨てかー
[♔︎あなた♔︎]恥ずかしすぎて爆発しそう
[*mimi*]それはない
[♔︎あなた♔︎]いやある
私も呼び捨てにしたいとは思ってるけどいざってなったらやばいね
[*mimi*]えてかどこまでいった?
[♔︎あなた♔︎]大阪かな1番遠くは
あ、沖縄だ!撮影で
[*mimi*]いや、そういうことじゃない…笑笑
[♔︎あなた♔︎]え?なんで?なにが?
[*mimi*]あー分かんないならいいや
[♔︎あなた♔︎]???
[*mimi*]てかほんとに好きだよね
[♔︎あなた♔︎]当たり前だよ
もう廉くん無しじゃ生きていけないもん
ざっとこんな感じの会話が並んでた
他にもあなたが俺の写真を送ってたりして
嬉しくなって涙が溢れそうになった
ミミちゃんがトイレに立つと1人になる時を
待っていたかのように涙が零れ落ちた
次から次に涙が零れ落ちて止まらなくなる
嬉しかった
あなたがそんなに俺のことを考えてくれて
あなたがすごい俺のことを想ってくれていて
『もう廉くん無しじゃ生きていけないもん』
その言葉が離れない
今もその言葉が本当なら…目を覚ましてください…
俺はあなた無しじゃ生きていけないんだ
そしてしばらくしてミミちゃんが戻ってくる
ミミちゃんは塾があるみたいで荷物をまとめて
病室を後にした
それから俺はいつも通り面会時間ギリギリまで
あなたのそばに居た
結局目が覚めると言われた入院3日目が終わっても
あなたは眠ったままだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!