第66話

危険な世界を旅と呼ぶ魔王。
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2026/06/17 18:16 更新
ゼノスは、

椅子へゆったりと背を預けたまま、

すっと指を三本立てた。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
さて
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
僕が確認したいことは
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
全部で三つある
穏やかな声だった。

けれど、

その一言を境に、

部屋の空気がほんの少しだけ引き締まる。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
まず一つ目
紫の瞳が、

まっすぐ三人を見据える。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
これから先
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
君たちは何をしたいのか
元貴たちは黙って耳を傾ける。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
二つ目
今度は、

指を一本折る。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
その規格外の力を
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
ちゃんと扱えるようになるか
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
使えるかどうかじゃない
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
制御できるかどうか
静かな声音。


だが、その重みは十分すぎるほど伝わった。


アークがわずかに目を細める。


ゼノスの言葉は正しい。


元貴たちの力は、

強力すぎる。


だからこそ危うい。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
そして三つ目
最後の一本を折る。


部屋が、

少しだけ静かになった気がした。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
この残酷な世界に向き合って
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
それでも前へ進みながら
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
自分たちの”帰る場所”を探す覚悟があるか
それは脅しではない。

試すための言葉でもない。


ただ、

世界の現実をそのまま並べた言葉だった。


元貴は小さく目を伏せる。
大森 元貴
大森 元貴
……やっぱり
大森 元貴
大森 元貴
地球に帰りたいって
大森 元貴
大森 元貴
分かるんですね
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
うん
即答だった。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
顔に書いてあるよ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
“帰りたい”って
若井 滉斗
若井 滉斗
………
藤澤 涼架
藤澤 涼架
………
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
でも安心して
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
帰る方法は
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
絶対どこかにあるよ
その言葉に、

三人が同時に顔を上げる。
大森 元貴
大森 元貴
(アークも…言ってた)
若井 滉斗
若井 滉斗
……そんな簡単に言う?
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
簡単じゃないよ?
肩をすくめる。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
見つけるのはむしろ、途方もなく難しい
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
世界の理から外れた話だからね
 
藤澤 涼架
藤澤 涼架
ですよね………
 
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
けれど
そこで一度言葉を区切る。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
僕は
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
“ない”とは思わない
紫の瞳が、

静かに細められた。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
探してないだけで
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
見つかってないだけで
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
存在しないとは限らない
その考え方は、

妙にゼノスらしかった。


可能性を、

最初から捨てない。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
まぁ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
僕自身は”聖門”を探したことないけどね
大森 元貴
大森 元貴
え……(聖門……?)
若井 滉斗
若井 滉斗
なんで探さなかったんですか?
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
必要なかったからさ
あまりにも自然な返答。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
ここが好きだったし
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
守りたいものもあったから
ノクスが小さく微笑む。


ガルドは、

どこか誇らしそうに胸を張っていた。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
でもさ
頬杖をつきながら、

少し遠くを見る。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
僕はそれなりに世界を見てきたよ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
全部じゃないけどね
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
国も、遺跡も、海の底も、空も果ても
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
神々の眠る聖域も
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
人が踏み入れない禁域も
さらりと告げられる言葉。


だが、

内容は全くさらりとしていなかった。
藤澤 涼架
藤澤 涼架
待って?すご!
藤澤 涼架
藤澤 涼架
海の底?
アーク・インフェルナ
アーク・インフェルナ
空の……果て……
大森 元貴
大森 元貴
禁域?
若井 滉斗
若井 滉斗
昨日から情報量多すぎるんだけど
ガルド・レックス
ガルド・レックス
全部本当だぞ!!
勢いよく頷く。
ガルド・レックス
ガルド・レックス
ゼノス様、いつも急にいなくなるんだ!
ガルド・レックス
ガルド・レックス
で、帰ってきたと思ったら
ガルド・レックス
ガルド・レックス
知らねぇ遺物持ってる!!
ノクス・ヴェイル
ノクス・ヴェイル
しかも毎回
ノクス・ヴェイル
ノクス・ヴェイル
「面白かったよ〜」で済ませますからね
大森 元貴
大森 元貴
感想がすごく軽い人なんですね
藤澤 涼架
藤澤 涼架
世界旅行のレベルじゃない
若井 滉斗
若井 滉斗
冒険譚の主人公なんよ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
あははっ
楽しそうに笑う。


その笑顔には、

自慢するような色はなかった。


ただ、

本当に楽しかった記憶を思い出しているだけ。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
一週間前に帰ってきたばっかりなんだよね
ノクス・ヴェイル
ノクス・ヴェイル
そのせいで書類が山になっていましたが
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
その話やめない?
ガルド・レックス
ガルド・レックス
逃げようとしてたよな!!
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
ガルド
ガルド・レックス
ガルド・レックス
はい
即座に静かになる。
若井 滉斗
若井 滉斗
圧すご
大森 元貴
大森 元貴
今の一言で黙った
藤澤 涼架
藤澤 涼架
犬みたい……
ガルド・レックス
ガルド・レックス
誰が犬だ!!
小さな笑いが起こる。


そして。


ゼノスは、

もう一度元貴たちへ視線を向けた。


その瞳は、

先ほどまでよりも少しだけ真剣だった。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
だからさ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
君たちが本気で帰りたいなら
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
僕も手伝えると思う

ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
探すよ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
一緒に
その言葉に、部屋が静かになる。


元貴の胸の奥が、

じんわりと熱を帯びる。


突然召喚され、暴力を振るわれ、

この残酷な世界で。


希望というものをアークと、初めましての魔王に

差し出された。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
まぁ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
まずは生き残ろうね
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
帰るのはその後だ
大森 元貴
大森 元貴
……はい
今度の返事は、

少しだけ力強かった。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
で? 君たちはまず何がしたい?
大森 元貴
大森 元貴
……実はその……
少しだけ言いにくそうに頬を掻く。
大森 元貴
大森 元貴
お金が欲しくて
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
あぁ、なるほどね
紫の瞳が細められる。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
つまり——
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
旅の前に資金集めがしたいんだ
若井 滉斗
若井 滉斗
そういうことです
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
うんうん
納得したように頷く。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
旅をするにしても、お金は必要だからね
大森 元貴
大森 元貴
危険な世界を“旅”って軽々しく言うの
大森 元貴
大森 元貴
怖すぎでしょ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
あははっ
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
まぁ、それが僕の感覚だからね
若井 滉斗
若井 滉斗
スケールがおかしいんだよなこの人
藤澤 涼架
藤澤 涼架
逆に尊敬する……
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
じゃあ働こうか
さらっと言う。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
さすがにタダでお金は渡せないしね?
藤澤 涼架
藤澤 涼架
働きます!!
大森 元貴
大森 元貴
あ、じゃあよろしくお願いします
藤澤 涼架
藤澤 涼架
どぉ!?
大森 元貴
大森 元貴
なにその“どぉ!?”www
若井 滉斗
若井 滉斗
涼ちゃんが働くなら俺ら二人の分も頼むわ
藤澤 涼架
藤澤 涼架
ひどーい!!
ガルド・レックス
ガルド・レックス
ははははっ!!
ガルド・レックス
ガルド・レックス
仲良いなぁお前ら!!
大森 元貴
大森 元貴
仕事の内容は何ですか?
藤澤 涼架
藤澤 涼架
無視されたーー!!
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
この国の仕事はね
指を一本立てる。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
ランク制
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
Fから始まって
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
E、D、C、B、A
少しだけ間を置く。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
最後がSランク
若井 滉斗
若井 滉斗
うわぁ……
若井 滉斗
若井 滉斗
嫌な予感しかしない
藤澤 涼架
藤澤 涼架
ゲームみたい
大森 元貴
大森 元貴
絶対初心者に優しくないやつじゃん
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
職業名は——
少し楽しそうに笑う。
ゼノス・アルカディア
ゼノス・アルカディア
魔獣剥ぎ取り師
大森 元貴
大森 元貴
え?
若井 滉斗
若井 滉斗
は?
藤澤 涼架
藤澤 涼架
ん?
※この物語はフィクションです。

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