それから俺は、じんたんに会うたびに一緒にやろうぜって、猛アピールをした。
ある日も
またある日も
またまたある日も
だけど、何度言っても答えはいつも同じだった。たった一言、
そう言う時の顔はいつも曇っていて。一体どんな気持ちでその言葉を俺に言っているんだろう。そう思ってた。
毎日毎日アピールして、毎日毎日フラれて。でもそれでも、俺の気持ちは1ミリも変わることは無かった。
気付けばもう、こうやってアピールし始めてから3ヶ月ほどが経とうとしていた。
このままじゃ、何も進めないんじゃないか。って思い始めた頃だった。
ただ、この頃少しだけチャンスができた。
じんたんが、家を探しているのだ。良い事に俺は一人暮らし。マンションは意外と広めだから1人で住むには少し寂しい。だから、ここしかないと思った。
こうして、案外すんなりと、じんたんと同居することに。まさかここまで上手くいくとは思わなかったなぁ。自分でもびっくりだ。でも、これで1歩前に進めた気がする。
それから、次の日にはじんたんの荷物が俺の家に運び込まれて、同居生活が始まった。
一緒に住み始めてから、俺はアピールするのを少し抑えるようになった。これは、ちょっとした作戦だ。俺は、じんたんの本音が聞きたいんだ。
そんなある日
静かに泣いているじんたんの声が聞こえた。
俺が声をかけると、じんたんは溢れていた涙を必死に拭って言った。
じんたん、どうしたんだよ。なんで隠すんだよ。底知れぬ不安が俺に降りかかってきた。
少し落ち着くまで、背中をさすってやっていた。何も言わずに。そして、しばらくしてじんたんが口を開いた。
じんたんは、声も体も震えていた。俺がなんと返答するかも分からない中、必死に振り絞った言葉だったのだろう。
やりたいことをやって生きていく楽しい人生なんて、そんな理想を描いてはかき消して妄想を抱いていた。だけど、そんなただの理想を現実に変えてくれたのは君だったから、たとえこの先どんな困難が待っていようとも俺は絶対に諦めず、期待を背負って羽ばたいていく。だから、最後まで一緒に来てくれよな
相棒
END
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。