ピーンポーン
ガチャ
俺は作業後で木の匂いがプンプンしてたからみやに風呂を借りた。
とりあえずパンツだけ履いてドアを開けた。
やけにテンパっている彼は「じん」と名乗った。どうやら人と話すのはあまり得意ではないらしい。繊細そうな彼を驚かさないように優しく話しかける。
そう言って俺は手を差し出した。すると、彼は目をキラキラさせて俺の手を握った。彼はとにかく笑顔が素敵で、誰もが彼の笑顔の虜になるような、本当にそんな感じだった。
それから、もう1人来てシェアハピの動画をみんなで撮った。それからみんなで飯を食いに行った。
帰ってから、何故か俺は、じんたんのことが頭から離れなかった。たった1日を一緒に過ごしただけ。ましてや今日会ったばかりの人のことがこんなにも気になるのは初めてだった。そうして、考えているうちに俺は気付いたんだ。
あ、たぶんお前だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!