第34話

再び迫り来る影
289
2022/06/12 09:40
由井  葉月
由井 葉月
ついさっき着いたの。小谷くんは買い物?
小谷  怜央
小谷 怜央
ああ。つーか、何で荷物持ってこんなとこに居るの?
由井  葉月
由井 葉月
送ってくれるって言われたんだけど、アパートまではね……まだ明るいし、ここでいいかなって
小谷  怜央
小谷 怜央
ふーん。で、買い物してくの?
由井  葉月
由井 葉月
そうしたいけど、荷物あるから……
小谷  怜央
小谷 怜央
荷物くらい持ってやるよ。だから買い物すれば?
由井  葉月
由井 葉月
いいの?
小谷  怜央
小谷 怜央
遠慮すんなって
由井  葉月
由井 葉月
ありがとう
小谷くんの優しさに甘えて買い物をして帰ることになった。
今日は昼間のバイトだけだったので、せっかくだから一緒にご飯を食べる事になり、食べたい物を聞きながら一緒に買い物を済ませてスーパーを後にする。
由井  葉月
由井 葉月
ごめんね、荷物持ってもらって……
小谷  怜央
小谷 怜央
いいって。それにお前に持たせたら歩くの遅いし
由井  葉月
由井 葉月
そんな事、ないと思うけど
小谷  怜央
小谷 怜央
ってか一泊にしては荷物多くない?
由井  葉月
由井 葉月
そう?  女の子の荷物は多くなるものだから、これくらい普通だよ
小谷  怜央
小谷 怜央
そんなモンなのか?
由井  葉月
由井 葉月
そうそう
帰り道は他愛のない話をしながらだったけど、会話も途切れる事無く続いていく。
由井  葉月
由井 葉月
(やっぱり、小谷くんと話すのは落ち着くな)
今回の旅行で少しは浦部くんや楠木くんとも話せるようにはなったけど、小谷くんに比べれば全然話せていなかった事に改めて気付く。
由井  葉月
由井 葉月
(……いや、でももっと慣れれば浦部くんとも話せるようになるのかな)
話せない違いは『慣れ』なのか、それがイマイチ分からない。
小谷  怜央
小谷 怜央
じゃあ俺、荷物置いて着替えたら行くわ
由井  葉月
由井 葉月
うん、分かった
アパートに着き、持って貰っていた荷物を受け取りながら頷いた私は小谷くんが先に部屋に入るのを見送って自分の部屋の前へ辿り着く。
由井  葉月
由井 葉月
え……これって……
すると、ドアの間に一通の封筒が挟まっていた。
由井  葉月
由井 葉月
…………
封筒を取って、恐る恐る中を開けてみると、
由井  葉月
由井 葉月
中には二枚の写真が入っていて一枚は小谷くんと並んで歩く姿、もう一枚は旅行当日、駅で浦部くんたちと合流した時の写真。


そして、その二枚の写真にはどちらも赤いマジックで大きなバツ印が書かれていた。


これが意味するものは一体何なのか分からないけれど、今まで以上に身の危険を感じてしまう。
小谷  怜央
小谷 怜央
何でそんなとこで突っ立ってんの?
由井  葉月
由井 葉月
こ、小谷くん……
小谷  怜央
小谷 怜央
また何かあったのか?
由井  葉月
由井 葉月
これ……
部屋着に着替えた小谷くんが部屋から出て来ると、先程の写真を手渡した。
小谷  怜央
小谷 怜央
何これ……どこにあった?
由井  葉月
由井 葉月
封筒に入って、ドアに挟まってて
小谷  怜央
小谷 怜央
わざわざアパートの中まで入って来たって事か……
由井  葉月
由井 葉月
写真まで撮られてるなんて……
小谷  怜央
小谷 怜央
完全なストーカーだな
由井  葉月
由井 葉月
どうしよう……警察に相談した方がいいかな?
小谷  怜央
小谷 怜央
この程度じゃ取り合ってくれなさそうだな
由井  葉月
由井 葉月
そっか……
小谷  怜央
小谷 怜央
とりあえず、中で話すぞ
由井  葉月
由井 葉月
う、うん
小谷くんに促された私は鍵を開けて小谷くんと共に部屋の中へ入った。

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