全教科のテスト返しが終わった時、陽介がめちゃくちゃ笑顔で赤点回避したと報告してくれた。
うち数教科には平均点を超えているものもあった。

赤点常習犯の陽介にしてはいい結果だろう。
補習回避、おめでとう！！

ピースサインを作ってドヤる。

本当に、陽介が頑張ってくれてよかった～
今度ボーダーで会ったらランク戦してあげよう。

よっしゃ～奢り決定！
林藤支部長さんからお金は貰っているけど、あまり手はつけたくないのだ。
かと言って友人に奢ってもらうのもどうかと思うが、今回のは報酬だから。
いや〜1食分浮いて良かった！

その他にも色々と雑談をしていると、訓練開始時間になった。
自分の場所を決め、狙撃銃を構える。

今回の訓練は、動かない的を撃つという簡単なものだ。シンプルだけど、真ん中に当てるのは難しい。腕もしんどいし。

訓練開始の合図と共に撃ち始める。
ほぼ真ん中には当たるのだが、やはり少しバラけてしまう。
全部真ん中の円から2つ目ぐらいまでの枠に入れることは出来るんだけどなぁ。

訓練終了の合図がかかり、パネルに順位が表示される。

私は……5位か。千葉くんだったら1位いけるかな…

すごい、全部ど真ん中だ。これは千葉くんと張り合えるな……

なんて考えていると、隣の隊員さんがビクッと肩を震わした。

隣の人の的を見ると、全部ど真ん中だった。
もしかして…………

目の前で名前を呼ばれたことが恥ずかしかったのか、優しそうな笑顔には汗が流れていた。

彼女の顔からは、褒められたことへの素直の嬉しさ……だけではなく、どこか悲しげな感情が浮かんでいた。
何故だろう…？

小さな声で放たれた言葉は、私の耳に届くことは無かった。

鳩原先輩密航のちょっと前辺りですねたぶん……