あなたside
兄さんが「お前は俺の妹だ」と言ってくれた時
助けてもらわないと
そう思った
きっと、私を助けるまで兄さんは来てくれる
ボロボロになったって来てくれる
だったら、早く助けてもらわないと
でも、今の私に出来ることは?
こうしてる間にも、戸に近づいている
きっと、この部屋から出たら…
ガシャン!!
急に檻が落ちた…いや、違う
童磨の身体が崩れて、檻を持てなくなったんだ
手が届くか届かないところにある鍵
童磨が立てなくなった時に落としたのだろうか
いや、それよりも取らないと
必死に手を伸ばす
まだ、あいつは気づいてない
早く…早く…あと、少し…
取れる…
急いで檻の鍵を開けて、外に出る
・
私たちの間に大きな氷の像が現れた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!