ガシャンッッー!!!!
静かな部屋に響き渡った機械と地面がぶつかる音。
その音はすぐに、このだだっ広く静寂な空間に飲み込まれて消えていく。
残ったのは俺の荒い息だけだ。
手元から滑り落ちたスマホへ目を向けると、それを追うかのように俺の瞳から溢れた涙が、次々とこぼれ落ちていった。
未来から来た?
僕の恋人?
明らかになった無数の事実がどれも信じ難いもので、頭の整理が追いつかない。
今の動画の俺は誰なんだ?
死ぬはずだったって言ってた?
崩れかけていた理性を持ち直し、ふらつく足を止めようと体幹に力を入れる。
でも、今から会って何を聞くんだ?
そこまで考えたところで、まだ冷静さを保っていた頭の中の俺が問いただしてきた。
たくさん知りたいことがある。
でも、俺が何も分かっていない状態で言っても話がまとまらないまま終わるだけじゃないか。
それに、チョンさんが知らなかったら?
この動画がもし、もしも前世とかのものだったとして
チョンさんは知っているのか。
今会いに行っても、引かれて終わるだろう。
…俺は、どうしたらいい?
何も分からない。
それに、怖いんだ。
真実を知ってしまうのが。
でも、俺は向き合わないといけない。
引かれてもいいし、嫌われてもいいから、この動画の謎を解明する義務がある。
俺は咄嗟にそう思った。
動画の中で、俺が言った、
「俺の代わりに、グガを守って」という言葉。
あの言葉は、約束は、守らないといけない。
俺はやっぱり、チョンさんの近くにいないと、、
部屋から玄関へと飛び出し、エレベーターは遅いから階段を使ってマンションのエントランスへと走る。
日を跨ぐほどでもないが、それぐらいの時間に近づいていたからか全く人はいなかった。
エントランスを潜り抜けると目の前に道路が広がり、
辺りを見回す。
今日も平日だからソウル病院で勤務していただろう。
もし残業とかで残っていたら、今帰り道だったら近くにいるのかもしれない。
そう思ってソウル病院の方へ足を向ける。
するとその瞬間、今までと比にならないほどの痛みが俺の頭を襲ってきた。
まるで何かに侵食され、頭が中から食べられているかのような痛みに、
我慢できず膝から崩れ落ちる。
なんだ、これ、、
頭が割れるっ、!
両手で頭を抱え込んで、ぎゅっと目を瞑った。
ぐらぐら燃える痛みとそれと同時に、だんだんと明瞭になっていく俺の記憶。
俺と仲良くなりたい、話したいと言って、
雨の中、俺のマンションの前でうずくまる姿。
震える身体を抱きしめるようにしながら、一生懸命真実を話してくれる姿。
可愛い声で啼きながら俺の腕の中で乱れる、卑猥で忘れたくない姿。
そして俺は、全てを思い出した。
そうだ、
俺は、すでに出会っていたんだ。
大切で、一生を共にしたいと思えた人に。
俺を救うために未来からやって来て、恋に落ちて、
人生を変えてくれたのは、
ジョングガ、、君だったんだね。
涙が止まることを知らないかのように流れ続ける。
一つを思い出せばそれと同時に、彼との記憶が、付き合っていたときの記憶が流れてくる。
俺は拳を握りしめた。
俺はソウル病院の方へと駆け出した。
愛しい人に、会うために。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。