第92話

俺の、運命の人
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2025/05/28 22:03 更新









ホソク
ホソク
もう心拍数も落ち着いてきたし、大丈夫そうだね。
ナムジュン
ナムジュン
ホソク、ありがとう。
助けてくれて。
ホソク
ホソク
いや、全然!!
ホソク
ホソク
テヒョンアが運ばれてきた時はほんと、心臓止まるかと思ったよ。
ナムジュン
ナムジュン
俺も、、
ナムジュン
ナムジュン
ほら、テヒョンもお礼。
テヒョン
テヒョン
……ありがとうございます。
ホソギヒョン。



病室のベッドで磔の状態にされながら、か細い声で感謝の言葉を伝える。



運悪く、機材の下敷きになってしまった俺は、すぐに救急車で病院へと搬送された。





ホソギヒョンがすぐに駆けつけて、


頭から血を、滝の如くだらだら流した俺を緊急手術してくれたおかげで一命を取り留めたのだ。


テヒョン
テヒョン
ふぅ、、




本当はもっと安静にしておかないといけないけど、


テヒョン
テヒョン
……よっ、と、っ



寝ている時間なんかない。



明日も、明後日も仕事が俺を待っている。



もうすでに手術が終わって6時間は経過し、頭の血も止まったため渋々退院の許可をもらった。
(すごく無理を言って)


まだ重たい身体を腕力で押し上げ、ベッドからゆっくりと降りる。



ホソク
ホソク
ねぇ、分かってるよね?
本当はまだ寝てないとダメなんだよ?
ホソク
ホソク
絶対に無理しないで。
テヒョン
テヒョン
わかってますよ、、




過保護なヒョンだ、、


俺は今こうして元気なのに。


ホソク
ホソク
まだ傷もちゃんと塞がってないし、
ホソク
ホソク
頭に負担のかかることしたら、また傷が開いて裂けちゃうかもしれないからね?
テヒョン
テヒョン
え、、



それは知りたくなかった事実。


帰宅しようと思っていた足が、ヒョンの一言で一気にすくむ。


ナムジュン
ナムジュン
まぁまぁ、明日も仕事の時間を練って来るよ。
ナムジュン
ナムジュン
そのときも、ホソクでよろしくね。
ホソク
ホソク
うん、任せてよ!!



ホソギヒョンは時々、棘のある言葉を飛ばして来るけれど、それは全て優しさと愛で出来ているのを知っている。



俺の頭の傷も深く、普通なら今も痛んだり血が溢れているはずなのに、包帯には血すら滲んでいない。


きっと、退院したいと言う俺を見越してヒョンががんばってくれたんだ。


テヒョン
テヒョン
…ありがとうございます



俺はホソギヒョンとナムマネの優しさに触れ、泣きそうになった。










テヒョン
テヒョン
ふぅ、


もうすっかり暗くなり、闇のような先の見えない道をひたすら歩く。



知っている場所のはずなのに、異世界に来たみたいだ。


テヒョン
テヒョン
いっ、た、



ナムマネは仕事が残っているから、俺は気遣ってタクシーで帰ることにした。


でも、一応有名人だから、本当の住所をそのまま言うわけにもいかない。



タクシーに乗る時は敢えて少し遠い場所の住所を言って、歩いて帰るお決まりだった。




けど、、





今、病人の俺にとっては辛い選択肢だったかもしれない。



治っていた頭の痛みが、唐突に収縮を始めた。


頭の中で何かが蠢くかのように。


テヒョン
テヒョン
やばいな、これ、、




頭を抑えながら、なんとか足を踏ん張る。


しかし身体中が震えて上手く立っていられない。



思わず俺はその場に座り込んだ。



テヒョン
テヒョン
アホだろ俺、、
死にかけたってのに。




つい数時間前は生死の狭間にいた。


なのに今は1人で家に帰っている状況が馬鹿らしくて、乾いた笑みが溢れる。







機材が身体にのしかかってきた時、俺は死を覚悟した。



それほどに痛く、何も考えられなくて全てが真っ暗になってしまったんだ。




しかし、そんな時に走馬灯のように思い出したのが、


今、会いたくてたまらない人の笑顔。




ふぅ、と天を仰ぎ見ると同時に、頬に何か冷たいものが当たった。



テヒョン
テヒョン
あ、はは、、嘘だろ。




雨だ。
今日はとことんついてない。



頭も痛い。もう何もしたくない。
どこにも行きたくない。


俺は魂が抜け落ちたような感覚がした。


頭痛と同時に酷くなる雨が、俺の剥き出しになっている身体に降り注いでくる。



テヒョン
テヒョン
……




もういっそ、このまま全て投げ出してしまおうか。






そう思ったその瞬間、











……ムさんー!!






誰かが、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


テヒョン
テヒョン
……



誰かが叫んでいる、探してくれている気がする。


そして、この声を俺は知っている。


今一番聞きたかった声だ。



その声がだんだん、全てを掻き分けるように俺に近づいてきた。



テヒョン
テヒョン
っ、




悲しみを表現するかの如く地面を打ち付けていた雨が、
俺の周りだけなくなった。




痛みを堪え、ゆっくりと顔を上げる。





ジョングク
ジョングク
…っ、よかった、無事で、
テヒョン
テヒョン
なんで、




なんで君は、
来てほしいときに姿を現してくれるのだろう?


俺が願った時に、その声を、その顔を見せてくれるのは、運命だと勘違いしてもいい?


俺は、もっと君に触れてもいいのかな?




会いたくて仕方なかった存在が目の前にいて、我慢ができないほど俺は衰弱していたみたいだ。



ジョングク
ジョングク
うわ、っ!?




傘をさしてくれているのも忘れ、華奢で消えてしまいそうなその肩を優しく抱きしめる。


2人をガードしてくれていたものがなくなり、ずぶ濡れ状態になっているけど、そんなの気にならない。



ジョングク
ジョングク
っ、と…きむさん、?//




君は、悪魔みたいだね。




顔を赤らめ、俺の腕の中で目を泳がせる表情ひとつで俺の意識は地球の外へ飛んでいってしまう。



理性のカケラすら、残されていなかった。



テヒョン
テヒョン
すき、、
テヒョン
テヒョン
好きだよ。チョンさん。



考えるより先に、口に出たその言葉。

声を発することで、改めて彼への気持ちを俺は理解した。



当の本人は口を開き、何が起きたのか分からないというような呆然顔をしている。


ジョングク
ジョングク
え、、ま、っ!!




俺はチョンさんの頬を掴み、その潤んだ唇に噛み付くようなキスをした。




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