jk side
先を照らす光もなく、足元の石ころ一つさえ見えないほどに真っ暗な大通り。
まるで闇に葬られた異世界のような空間の中を、
1人の男が歩いていた。
いつもくたくたのまま歩く、ソウル病院からの帰り道。
なのにいつもより足取りは重たく、僕の頭は眠気と壮大な戦いを繰り広げている。
最近、院内ではとある感染症が少しずつ流行しつつあったんだ。
僕達医師側も、最低限の注意を払って感染を広げないためにたくさんの努力はしている。
マスクもして徹底していたはずだが、遂に医師側にウイルス陽性の人が相次ぎ、
勤務できない人の仕事の穴埋めを、全て任されていた。
もうすでに8時を回っているというのに、過去最長の残業時間で全く帰れなくてこんな時間になってしまった。
仕事以外のことを考える余裕もないし、考えたらだめだと分かっているのに、どうしても先輩が頭にちらついてミスを連発してしまった。
毎日続くそんな日々に、僕は限界だった。
どうして、僕が選ばれてしまったんだろう。
神様が僕なら先輩を助けられるって、そう思ったのかな?
先輩を助けるために二度も過去へ戻り、やっと任務を果たせたとき、
正直、
「やっと終わった」と思った。
1人で奮闘して、自分の気持ちに蓋をする日々は想像以上にしんどく、頼れる友もいない。
ついに解放された。
先輩も僕も、お互いのことを忘れて幸せになれる。
そう思っていたのに、、
また再会して恋に落ちるだなんて、誰が予測したのだろう。
それに先輩が撮影現場で事故に巻き込まれてしまったのもまた、僕が原因なんだ。
僕がいなくなれば、先輩は、笑って過ごしていけるのだろうか。
もう全て忘れて楽になりたい。
生きることが、辛い。
横断歩道を渡ろうとすると、赤になった。
すぐ目の前をバスや、高級車もろもろの車がすごいスピードで走っていく。
足が、無意識に前へ出ていた。
テヒョン先輩を助けたことで、僕が死ぬ未来へと変わってしまったのかもしれない。
それなら、僕が先輩の身代わりになる。
あの人が隣にいない世界なんて、もう生きていたくないから。
追い風になり、前へ身体が進んでいく。
すると、
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
後ろから腕を掴まれ、物凄い力で引っ張られる。
耳にストレートに届いてきたその声と、抱かれた胸の温もりで誰だか一瞬で分かった。
でも、聞こえてきたのはその声から発せられるはずのない言葉。名前。
僕は自分の耳を疑った。
今、、「ジョングガ」って、、
どうしてその名前で呼んだの?
いきなり何!?
僕怒られてるの!?
少しだけ距離をとって、先輩が俯いたまま何も話さないと思った瞬間、鬼のような形相で僕に怒鳴ってきた。
まるで湯気が出ているみたいな先輩の様子に、驚きと動揺を隠せない。
何に対してそんな怒ってる?
僕が…死のうとしたから?
どうしてもそこまで怒られる理由が見つからなくて、あたふたしているにも関わらず、
先輩はそのまま言葉を繋げる。
なんで先輩が知ってるの?
頭の整理が追いつかない。
次回、、ついに最終話!!です🫶😭
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。