第95話

懐かしい記憶
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2025/06/04 01:27 更新








あれから、1ヶ月。


僕はまた今まで通りの生活に戻っていた。



ジョングク
ジョングク
それじゃ、来週からまた通院で来てください。
ジョングク
ジョングク
絶対に治りますよ。
一緒に頑張りましょう!!



この仕事は僕に向いているなと、最近思う。



辛い現実に向き合わないといけなかったり、失敗をしたら患者の命に繋がったりと、精神的に辛くなる時もあるけれど、


持病を患っている人を助けられる。

一緒に、立ち向かうことができる幸せは、ここでしか感じられない。


それに何より、何もかも忘れて集中できる。




そう思っていたのに、先輩と出会ってから変わってしまった。



ジョングク
ジョングク
…はぁ、だめだだめだ、、





…っ、また思い出しちゃった、、先輩のこと、




気まずい雰囲気のまま、また会わない日々が続いてしまい、胸が苦しくなる。


あの時、僕も好きだと言っていたら、、
どうなっていたのだろうか。


ジョングク
ジョングク
コートも、、どうしよ、



雨の中で先輩の背中にかけたコートも、会っていないからもちろん返してもらっていない。


僕も他のコートはあるし、全然所有物にしてもらっていいんだけど、、


ジョングク
ジョングク
先輩のスマホが入ってる、、はず。




ポケットに過去の先輩のスマホを厳重に保存してあったのだ。どうにかして返してもらわないと、、


僕は大きなため息をついた。










th side




テヒョン
テヒョン
……



快晴だったが、だんだんと薄暗くなってきた空が現在の時刻を暗示している。




今は夕方ごろ、、かな?



周りを見渡すと、撮影のために入場人数が制限されているから人はほぼいない。




ナムジュン
ナムジュン
おいテヒョンア!

あのジェットコースター乗ったか??
どちゃくそ楽しかったぞ!!
テヒョン
テヒョン
あ、おじさん登場、、




ぼそっと呟いた声は、、



ナムジュン
ナムジュン
あ?誰がおじさんだって??



届いていたみたいだ。


テヒョン
テヒョン
なんにもないですー!

俺はもう、何も乗らなくて大丈夫なんで。
ナムジュン
ナムジュン
お前はほんと、、

初めての遊園地なんだろ??もっと楽しめよ!!



そう、今日来ているのはソウルで一番といっていいほど大きな遊園地。


ドラマで遊園地のシーンを撮影するため朝に来て、全て終わったから遊び呆けていたところ。


初めてだから楽しみたいけど、
それどころじゃない。


テヒョン
テヒョン
(人が失恋したってのに、、!)





実際振られたのは1ヶ月ほど前だが、ナムマネには昨日、今まであったことを全て話した。



事故の直前にチョンさんを好きだと自覚したこと、


病院の帰りに告白したこと、
(き、キスは除外!!)


そして、振られた後に「他人だから干渉するな」と言われたこと。





何を言われても諦めない。
そう決めていたのに、、


なぜかあの一言が腑に落ちてしまい、これは無理だなと悟った。



ナムジュン
ナムジュン
失恋した後は楽しまないと…嫌なもんも忘れられないだろ??
ナムジュン
ナムジュン
タイミングの問題だよ!!
これからまたゆっくり始めればいい。
テヒョン
テヒョン
タイミング、、




そういう問題でもない、、気がする。



テヒョン
テヒョン
あ、でも、、
ずっと気になっていたことがあって、
ナムジュン
ナムジュン
ん?なんだ?




ナムマネが、俺の座っていたベンチの隣に腰掛ける。



テヒョン
テヒョン
やっぱり俺、、
チョンさんとどこかで、





スピリチュアル的なものなのか分からない。


記憶はないけどチョンさんとどこかで出会ったことがある気がする。






最初に出会った時も、式典の階段を降りている後ろ姿を見て、本能的に身体が動いていた。



懐かしく、苦しい
なんとも表現し難い感情の中で、俺は思ったんだ。




「やっと、見つけた」って。


テヒョン
テヒョン
……



考えれば考えるほど分からない。


チョンさんが「出会ったことがない」と言っていたから、それを信じるべきなのか?




いや、明らかに嘘をついている。


でもなんのために?




俺は彼の全てに惚れて、その優しさに、甘い声に、誘惑されて引っ張られるようにトリコになった。


もっと全てを知りたくて、触れたいと思ったから。




でもそれは、俺じゃないのかもしれない。

誰か、俺じゃない別の人が心の中にいるような気がするんだ。



ナムジュン
ナムジュン
まぁまぁ、一旦そこまでにして、




ナムマネの声に頭のソードラインを超えた意識が、ふっと呼び戻される。



ナムジュン
ナムジュン
まだ好きなら、諦めなければいい。
それだけだよ。
テヒョン
テヒョン
…はい。




答えの見つからない問いを1人で考えていても、意味がない。これ以上模索するのはやめよう。



チョンさんが俺を嫌っているかもしれないのなら、近づかなければいい。




お互い、頭を冷やすべきだ。



テヒョン
テヒョン
ふぅ、




頭を地面に向けて大きく下げ、一息ついて立ち上がった。



そんな俺を見て、ナムマネは嬉しそうに笑う。



ナムジュン
ナムジュン
よーし、それじゃ最後に思い出作りするか!
ナムジュン
ナムジュン
何に乗りたい??




意気消沈していた俺が、ついに行動を示したのが嬉しいのか肩を唐突に肩を組まれる。



テヒョン
テヒョン
んー、





ふと視線を上げた時、大きな観覧車が目に映った。



虹色にライトアップされたその光景に、外部から引っ張られるかのように、無意識に言葉が漏れた。



テヒョン
テヒョン
あ、、懐かしい、


ナムジュン
ナムジュン
…え?





俺が言葉を発した瞬間、静寂の時間が流れる。




俺、今、なんて言った、?




ナムジュン
ナムジュン
テヒョンア、、
この遊園地、初めてじゃないのか??
テヒョン
テヒョン
え、




なぜかその瞬間、あるはずのない記憶を思い出した。



俺はこの場所に、来たことがある。






誰かの名前を呼んで、叫んで、
その相手が泣いている。



しかし、その涙を流している人の顔は思い出せない。






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