タクシーで神社へ向かう道中
身体を震わせ寒がり始めた山田
奴が嫌がっていた
確かに”そいつ”は山田のなかに
取り入るのが目的だけど
神社の敷地内でそれを行うと
”そいつ”が山田に取り込まれる形になり
自由が効かなくなってしまうのだ
目の前にそびえ立つ
大きな鳥居を前に
唖然とする
約束事を交し鳥居をくぐると
少しして山田が暑がり始めた
長い砂利道を抜けると
大きな木が生えた庭に出た
その光景に唖然としていると
庭を繋ぐ石橋から
伊野尾が呑気に歩いてきて
さっきまで黒く
焦げ付いていた指先が
跡形もなく元に戻っていた事に
驚く
訳の分からないまま
そびえ立つ樹木に近づくと
突然,風が吹いてる訳でもないのに
大きく揺れ始め
相変わらず揺れ続ける木に
どん引きしながら
木に触れると
少しして山田に異変が起きた
どうやら身体中が燃えるように暑いらしい
その場で目を瞑ると
何かを呟き念じ始めた伊野尾
目の前では山田が冷や汗をかきながら
もがき苦しんでいた
その内呼吸の乱れた山田が
異常な叫び声を発すると
糸が切れるように
その場に倒れ込んでしまった
横たわってしまった山田
後から駆けつけた岡本と知念が
いくら探してもここにたどり着けなかったと
奇妙なことを言い始めた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。