第4話

PM4:00
32
2018/03/22 11:56
遊べるところはあらかた周り終わった僕らは、最後の乗り物、観覧車に来ていた。
まだまだ日が短い冬は、この時間でももう暗くなってきている。
二人っきりのゴンドラに、最後の夕日が一筋映る。
その光がヤヨイに反射して、なんとも神々しかった。
訪れる沈黙。
を破るように、僕はずっと頭にあった疑問を口にした。
「ねえ、ヤヨイ」
「ん?」
ヤヨイが、こちらを向いて微笑む。
それを見た瞬間、僕の胸はやはり高鳴る。
ドキドキと大きく脈打つ心臓に手を当てて、ヤヨイに向き合った。
「なんか良くわからないんだけどさ、さっき、というか結構前からヤヨイ見るとすごい胸がドキドキするんだ。なんでだろう?」
「……っ!」
僕が、そういった瞬間。
ヤヨイは苦しそうに顔を歪ませた。
慌てて僕はヤヨイの背中を擦る。
「だ、大丈夫!?どこか苦しいの!?」
「…ううん、大丈夫。大丈夫だよ……」
ヤヨイは、泣いていた。
大粒の涙を溢しながら、泣いていた。
僕には、なんでヤヨイが泣いているのか、解らなかった。
解れなかったんだ。

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