第21話
ふられた過去
この…
『 落ち着く 』って感覚…
私は、崇裕から そっと離れ、
振り向き階段を降りた。
さっき崇裕に聞かれた『 怖い 』ってのも、、、
あながち間違いじゃないのかも…
崇裕に限って、、、って、思いたいけど…
そんな私の希望を裏切られる、、、
そんな気がするから…
" 純粋ホワイト"だなんて…
誰が言ったんだか…
まだ何もされてないのに、
私の心が荒んでる ばかりに、崇裕を悲しませてしまっているんだ…
チラッと崇裕の顔を見ると、
運転席のフロントからの サンドがかった光に照らされて、
なんとも セツナく悲しげな顔だった。
いつもなら…
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なんて、自分を蔑んで、
笑いに変えたりして…
ココは どこだろう…?
どこだか分からない、薄暗い駐車場に車を停めた崇裕が、
助手席で何も言わず、ただ窓の外を見ていただけの私に しびれを切らした様に発した。
私、、、プロ失格だな…
どんな事があったとしても、普通にしてなきゃダメなのに…
崇裕は、いつもこうやって、私の悩みを探り当てる。
以前、彼氏と別れた時だってそうだった。
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高校2年の秋。
時間は…
24時を少し越えていた。
こんな時に泣き出すほど…
私の心は無事では無かった。
私の涙を見て、淳太も照史も、言葉を無くした。
私が、フラれたことを、、、知っていたから。
私は地下のスタジオにこもった。
ここなら、泣き声も聞かれないだろうから…
私は、広い床に、大の字で寝っ転がり、
スタジオの静けさに、刺されるような気持ちでいた。
しばらくすると…
ガチャッ!!
崇裕は、お盆に何かを乗っけて、
危なっかしい手つきで、地下の重たい扉を開けた。
広い床の真ん中にお盆を置き、崇裕がその脇であぐらをかいて座った。
シチューからは湯気が立ち昇り、
お茶と、フルーツの小皿が並んでいた。
「 ホレっ 」と渡されたシチューの器を受け取ると、色んな事に気づいた。
そこまで言いかけて、
たか兄は、ばつが悪そうに 俯いた。
なんだか微かに、泣いてるような感じがして…
少しだけ、俯いた顔を覗いた。
たか兄は、ビックリした私に、チョット苦笑いをして、
ひとつ、、、ため息をついてから、話し始めた。
お似合いだと思っていた ふたり。
だから余計に、セツナさが、私の中をジワジワと支配していった。
ッッ!!!
たか兄…
私は、たか兄に抱きしめられていた…
たか兄のこんな泣きそうな声…
初めて…
たか兄の腕が、キュッ!っと私を包み込む。
暖かい。
男の人って…
こんなこと、考えたりするんだ…
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