第43話
#部屋で待ってる
大吾がまだ、好きでいてくれてるなら…
別れたコトを、後悔してるなら…
なんて…
なんでこんな期待をしてるのか分からない。
優しい大吾に甘えたい。
でも、もう傷つけたくない。
ピンポーン♪
私は、一番奥の部屋のチャイムを鳴らした。
ガチャっ…
警戒する様に ゆっくりとドアが開き、
ガンッ!
と、止まった!!!
冷たいドアアーム越しに、見えた大吾。
外にいるのが私だと分かったとたんに、
笑顔になる。
私は、その笑顔で胸がギュッ!! っと掴まれる感覚を、しっかりと確認すると、
大吾が「 待って!」とドアアームを外そうと、閉め始めたドアに、
足を挟んだ!
ドアアームの隔たりが無ければ、
きっと私は負けてしまう。
だからこのまま…
大吾から、旅立つ前に…
濁した跡を消したかった。
未来ある大吾。
これ以上、汚してはいけない。
,
怒りを含んだ声色だった。
ずっと俯いたままの私…
一瞬でさえも、大吾の目を見られなかった。
それは、隠しようがない事実。
きっと本音。
グッと涙を堪えてて…
息が上がるのが分かるくらい、
苦しかった。
大吾は、、
一言も発さずに、ただ聞いていてくれた。
相談が、どんな事なのか分からないけど、
大吾だって、他の女の子と新しい出会いがあるんだ。
きっとこれでイイ。
,
ドアを止めていたスニーカーの足をスっと引くと、
ゆっくり…
まるで、スローモーションかのように…
大吾の足元が見えなくなっていった…
これでもかと言わんばかりの静けさだけ。
ホテルの廊下の無音に、押し潰されそうで…
私は、その廊下を走り出した!
足音さえ吸い込んでいく、怖いくらいの静寂。
ココから逃げ出したかった…
ッ///!!!
後ろから近付く大吾の気配を感じ取れなかった私は、
突然 掴まれた二の腕を軸に、
倒れ込むように、大吾の腕に力強く捕らえられ…
そして…
唇には…
熱い、、、何か…