第104話
手回し
淳太は、窓際の椅子に座り、携帯に視線を落としていた。
私のデビューに、
裏で手を回したのが淳太かも知れないと思うと、
話しかけるのが怖い…
それに、、会見のコトも…
淳太なら知ってるんじゃないのかな…
それで元気が無いのだとしたら…
どんな会見なのか聞くのも辛いな…
わざとらしく、大きめの声で言う照史。
ちょっ!
私のタイミングで行きたかったのにっ!
照史を軽く睨みながら、その前を通り過ぎた。
みんなの側だと、話しにくいのかな…
そう思いながら、私は楽屋のドアを開ける淳太の後に着いて行った。
自販の前まで来ると、指さしながら淳太は聞いた。
"コレっ"と、私はミルクティーのボタンを押した。
出てきたジュースを取り出し、私に渡すと…
淳太は終始ニコニコとしていた。
何から話せばイイんだろう。
なんとなく弱ってる淳太を目の前に、
私は躊躇していた。
そんな私を見兼ねてか…
やっぱりと思ったんだけど…
なんか、淳太を責める気は無くて…
それより逆に…
私の為に、辛い役割を引き受けてくれたんだと、
淳太には、たくさんの借りがあるんだな…
なんて思った。
壁に並んで寄りかかっていた私には、
淳太の顔が見られなかったけど…
きっと、、、とても悲しい顔をしている…
ママなら…
こんな淳太に、なんて声を掛けてあげるんだろう…
不意に、そんなコトを考えていた。
けど…
,
,
自分の為に…?
まさか… それって…
ただ、、、単純に…
私と廉くんを、、、別れさせたかった…
そういう… コト…なの?
そんなの…
ウソでしょ…
疑いたくなる様な淳太の言葉が、
頭の中で何度も繰り返されていた…